新興国経済
ASEAN・日本を取り巻く経済連携の拡大

リスク分散先としてのASEAN、日本の競合となる韓国

2012年10月10日

サマリー

◆2012年11月開催のASEAN首脳会合で、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)構想の「交渉開始宣言」が行われる見通しとなった。RCEPでは、ASEAN加盟国と日本を含むパートナー6か国がメンバーとなる可能性が高い。底堅い経済成長を遂げるASEANに対する注目度は高まっており、同地域を取り巻く経済連携の締結が急速に進むと見込まれる。

◆地域統合型の経済連携交渉が進む背景にあるのは、東アジア地域に特徴的な産業内分業の深化である。RCEPが締結された場合、日本、ASEANにどのような影響があるのだろうか。貿易結合度を確認すると、ASEAN+6地域の貿易構造は、日本を中心とした緊密な結合から中国中心の結合へと移行している印象を持つ。しかし、高付加価値な中間財を輸出し、他国に組立加工をゆだねるという日本が果たしてきた機能に中国が取って代わったわけではない。日本は、高付加価値の中間財輸出において、現在も競争力を維持している。ただし、対ASEAN、中国向け中間財輸出に関しては、韓国の競争力も看過できない。RCEP交渉が進むにつれ、日本と韓国の競合性は高まると考えられる。

◆中国とASEANを比較したとき、両者とも労働集約型産業を比較優位とし、最終財輸出に競争力を有しているという点で貿易構造が類似している。しかし、ASEAN+6域内の貿易結合度を確認すると、ASEANよりも中国との結合が高い国が多い。今後は、チャイナプラスワンとしてASEANを積極的に生産拠点の選択肢に入れる余地はあると言えよう。RCEPの交渉開始は、日本が今後ASEAN+6域内でどのように比較優位性を維持するのかという点を再度見直すきっかけとなろう。

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2016年7月7日
欧州経済・金融見通し ~英国は本当にEUを離脱するのか?~

書籍

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『習近平時代の中国人民元がわかる本』

誕生から半年が過ぎようとして、“改革”に力が入る中国・習近平政権。なかでも、人民元は、中国が世界にアピールできる1つの武器となっている。本書では、人民元に対する素朴な疑問から、中国が目指す未来まで分かりやすく解説。そして、変わりゆく人民元に投資する際の留意点なども指摘している。

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『ミャンマー開国 ― その経済と金融 ―』

民主化政策への転換を図り、開国したミャンマー。本書では、ミャンマーの歴史・政治体制を俯瞰し、人的資本、産業構造、対外関係、金融・財政などを統計に基づき客観的に解説、抱える課題や今後の経済発展に必要な政策についても述べています。ミャンマーをより深く理解して頂くため、多くのビジネスマンに活用して頂ければ幸いです。