中国経済
中国の金融政策の現状と問題点、必要とされる将来への備え

『大和総研調査季報』 2015年春季号(Vol.18)掲載

サマリー

中国人民銀行はマーケット機能を重視した金融政策体系の構築に取り組んできたが、それでもなお中国で最も有効な金融政策は窓口指導や貸出総量規制である状況に変わりはない。

足元の景気下振れリスクの増大に対応するため、中国は金融緩和を実施している。中小・零細企業向けの貸出を増やすという中国人民銀行の政策的意図を実現するために、窓口指導や貸出増加指示など行政指導的な政策が実施されようが、こうした貸出を行政指導によって増やせば、貸出の質が劣化し、将来的な不良債権が増えるリスクが高まることには注意が必要であろう。

これまで、窓口指導や貸出総量規制が効果を発揮してきたのは、潜在的な資金需要が大きいなか、供給サイド(銀行)の行動を変えることが有効な金融政策手段であったためである。しかし、中国の成長性が中長期的に一段と低下し、資金需要が大きく減っていけば、この前提は大きく崩れる。例えば、景気刺激を目的に、供給サイド(銀行)へいくら働きかけても需要サイド(経済、企業)のニーズがなければ、金融緩和策が効果を発揮できないことは、日本の経験が示す通りである。中国が今からその研究を深め、将来に備えるのに、決して早すぎることはあるまい。


大和総研 調査本部が、その長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、経済、金融資本市場及びそれらを取り巻く制度を含め、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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2016年7月7日
欧州経済・金融見通し ~英国は本当にEUを離脱するのか?~

書籍

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『習近平時代の中国人民元がわかる本』

誕生から半年が過ぎようとして、“改革”に力が入る中国・習近平政権。なかでも、人民元は、中国が世界にアピールできる1つの武器となっている。本書では、人民元に対する素朴な疑問から、中国が目指す未来まで分かりやすく解説。そして、変わりゆく人民元に投資する際の留意点なども指摘している。

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『ミャンマー開国 ― その経済と金融 ―』

民主化政策への転換を図り、開国したミャンマー。本書では、ミャンマーの歴史・政治体制を俯瞰し、人的資本、産業構造、対外関係、金融・財政などを統計に基づき客観的に解説、抱える課題や今後の経済発展に必要な政策についても述べています。ミャンマーをより深く理解して頂くため、多くのビジネスマンに活用して頂ければ幸いです。