中国経済
第18回党大会の注目人事

今月の視点

2012年10月26日

経済調査部 齋藤 尚登

11月8日に中国共産党第18回党大会が開催される。5年に一度開催される党大会は、今後の政策方針や共産党人事を決定する極めて重要な会議である。今回は、10年間続いた胡錦濤 総書記(国家主席)と温家宝 首相を中核とする指導部から、習近平 国家副主席と李克強 副首相を中核とする新指導部への移行が想定される。特に重要なのは、現在は共産党トップ9名で構成されている中央政治局常務委員の人事である。

習近平氏の略歴をみると、[1]1985年~2002年の長きにわたり福建省での勤務経歴を積んでいる、[2]地方の役職を務めながら軍・国防の役職を兼務している、のが特徴である。福建省は台湾との交流窓口であり、対台湾融和政策による台湾との結び付きの強化(一体化)が、習近平氏の「歴史的な業績」として意識されよう。

人民解放軍を支持基盤の一つとする習氏は、ひとたび問題が持ち上がれば、対外的に強硬な姿勢・態度を取らざるを得ないことも想定される。日中関係悪化局面が繰り返されるリスクである。「中国の対台湾融和政策」と「日中関係悪化局面が繰り返されるリスク」から導き出せる、日本企業のリスク回避の一つの方法は、「台湾・台湾企業の有効活用」ではないだろうか。

王岐山 副首相は、農業・農村問題や金融に明るい経済通であり、改革・開放政策を強力に推し進めてきた、内外(特に米国)からの評価が高い人物である。中国経済は、投資に過度に依存した経済発展パターンからの脱却、労働集約型産業の競争力減退、少子高齢化進展に伴う成長性鈍化などの難題への取り組みがこれから本格化する。中央政治局常務委員への昇格の可能性が高いとされる王岐山氏がどのような役割を担うのかにも要注目である。

政治改革を主張している汪洋 広東省党委員会書記は、中央政治局常務委員への昇格が微妙な情勢とされる。広東省陸豊市烏坎村では、共産党支部書記の腐敗・専横糾弾を目的に大規模なデモが発生。結局、広東省政府は村長選挙のやり直しを認め、2012年3月の選挙では、住民が支持する独自候補が当選するなど、民主的な手続きで村長が選ばれた経緯がある。民意を反映させる政治システム構築の重要性は認識されているが、政治改革の歩みを速めることに批判的な意見が多いのかもしれない。政治改革は加速するのか、現状維持なのか、汪洋氏の処遇も注目されよう。

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川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『ミャンマー開国 ― その経済と金融 ―』

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