証券・金融取引の法制度
カバード・ボンド、「ベイルイン」の対象外か?

規制上の優遇措置からカバード・ボンド市場の更なる発展が見込まれる

2012年2月9日

ロンドンリサーチセンター 鈴木 利光

サマリー

◆2011年末、英国当局は、カバード・ボンドの規制レジームにマイナーな改訂を加えている(2013年1月1日より施行)。

◆カバード・ボンドは、金融危機をもってしてもその市場が(比較的に)大きな打撃を被らなかったことから、昨今ではその重要性が欧州以外の地域でも議論されるようになっている。

◆ECBCの統計によると、2010年末時点におけるカバード・ボンドの発行残高は全世界で2.5兆ユーロを超え、2010年および2011年上半期においてカバード・ボンドの発行は欧州銀行の資金調達の38%を占めるに至っている。

◆英国は、2010年末時点において、カバード・ボンドの発行残高が、ドイツ、スペイン、デンマーク、フランスに次いで5番目に大きく、メイン市場の一角を占めているといえる。

◆規制レジームの改訂の目的は、カバード・ボンド市場の透明性を強化し、EU市場における比較可能性を向上させることである。具体的には、証券化商品のカバー・アセットへの組み入れを禁止し、超過担保(OC)の最低保有水準を導入し、ローン・レベル・データの四半期開示を義務付けることとしている。

◆こうした英国当局の動きは、2015年に導入されるバーゼルⅢの流動性規制(流動性カバレッジ比率)や、現在議論されている金融機関の破綻処理枠組みにおけるカバード・ボンドの優遇措置を睨んだものとも考えられる。

◆バーゼルⅢは、流動性規制カバレッジ比率の算定において、一定の要件を満たすカバード・ボンドを適格流動資産に組み入れることを認めている。

◆また、EUや英国では、金融機関の破綻時における「ベイルイン」(債権者の損失負担)の対象から、カバード・ボンドを除外する方向で検討が進められている。

◆こうした規制動向から、金融機関にとって、安定的な資金調達手段としてのカバード・ボンドの重要性が、今後よりいっそう増していくものと考えられている。

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