経済分析レポート
10月貿易統計

輸出数量に底打ち感

2015年11月19日

  • エコノミック・インテリジェンス・チーム エコノミスト 小林 俊介

サマリー

◆2015年10月の貿易統計では、輸出金額は前年比▲2.1%と14ヶ月ぶりの減少となった。しかし季節調整値で見れば底打ち感が見られ始めており、必ずしも悪い結果ではない。とりわけEU向けの自動車や関連製品とみられる自動車部品・鉄鋼などの輸出が大幅な伸びを示した。加えて米国向け、アジア向け輸出数量も小幅ながら季節調整値で見れば増加に転じている。輸入金額は同▲13.4%と10ヶ月連続の減少となり、貿易収支は+1,115億円と7ヶ月ぶりの黒字となった。

◆今月の結果は、海外需要が最悪期を脱しつつあることを示唆する内容であった。もちろん、輸出の本格的な回復には相応の時間を要するだろう。とりわけ原油価格下落やドル高が企業部門の重石となっている米国と、過剰設備の調整が必要なアジア向けの資本財や素材の輸出の不調が当面続く可能性には注意が必要だ。ただし先行きの輸出は、強弱入り混じりながらも緩やかな回復基調に復するだろう。米国では家計部門を中心に底堅い景気拡大が続いており、耐久財を中心に輸出の増勢回復が見込まれる。欧州向け輸出については原油価格下落やECBによる量的緩和の効果などから持ち直しており、均してみれば回復基調に復するだろう。アジア経済に関しては、中国の預金準備率引き下げや利下げなどによる実体経済の底上げが確認され始めており、消費財などを中心に一段の需要減少は回避される公算が大きい。

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