経済分析レポート
12月日銀短観

企業の業況感は足踏み状態、先行きも慎重な見方

2014年12月15日

  • エコノミック・インテリジェンス・チーム エコノミスト 長内 智

サマリー

◆日銀短観(2014年12月調査)は、景気回復の遅れを反映して、企業の業況感が足踏み状態にあることを再確認させる内容であった。先行きについては、大企業と中小企業のいずれも悪化を見込んでおり、企業は今後の経営環境について慎重にみているようだ。

◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回(+13%pt)から悪化し、市場コンセンサス(+13%pt)を小幅に下回った。日本銀行が10月末に「量的・質的金融緩和」の拡大を決定してから円安や株高が進んだため、それが大企業製造業(特に加工)の業況判断を押し上げると期待されたが、総じてみると、押し上げ効果はかなり限定的なものに留まったと考える。加工業種では、堅調な国外の設備投資需要や円安などを背景に、「生産用機械」の業況判断DIは堅調に推移している。

◆大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+16%ptと前回調査(+13%pt)から改善し、市場コンセンサス(+13%pt)からも上振れした。業種別に見ると、消費税増税後に落ち込んだ住宅着工に持ち直しの兆しが出てきたことから、「不動産」と「建設」の業況感が改善した。また、海外旅行客や出張者の増加などを追い風に、「宿泊・飲食サービス」が3四半期ぶりに改善した。

◆2014年度の大企業全産業の売上計画は、前年度比+2.0%と前回調査(同+1.8%)から小幅に上方修正され、5年連続の増収になる見込みである。大企業全産業の経常利益計画は前年度比+1.6%となり、前回調査の減益見通し(同▲3.0%)から一転して、3年連続の増益を見込む。経常利益は、昨年度に大きく伸びた反動で今年度は小幅な減益になるとみられていたが、企業の収益環境は思った以上に底堅いと評価できる。

◆大企業全産業の2014年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度比+8.9%となり、市場コンセンサス(同+8.1%)を上回った。GDP統計における実質設備投資は、2四半期連続の減少となったものの、日銀短観の結果からは、企業の設備投資意欲は引き続き堅調だと評価できよう。

レポートをダウンロードする

お気に入りへ登録

この記事を「お気に入りレポート」に登録しておくことができます。

このレポートのURLを転送する

  • @

お問い合わせ

PDFファイルの閲覧にはAdobe® Reader®新しいウィンドウで開きますが必要となります。お持ちでない方は、アドビ システムズのウェブサイトから無償ダウンロードができます。
なお、Adobe® Reader®のインストール方法は、アドビ システムズ ウェブサイト新しいウィンドウで開きますをご覧ください。

Get Adobe® Reader®

リサーチ

リサーチメールマガジン

大和総研研究員によるレポートやコラム、書籍・刊行物などの最新情報を適宜お届けします。

書籍・刊行物

熊谷亮丸、大和総研
トランプ政権で日本経済はこうなる(日経プレミアシリーズ)

「波乱はなし」と思われた米大統領選で、まさかのトランプ勝利!今後の米国・日本経済では何が起きるのか?トランプ勝利で不透明感の強まる米国の通商政策や金融規制、環境政策、日本経済の先行きについて、大和総研のエコノミストたちがやさしく、わかりやすく解説しています。2017年の経済情勢を見通すうえで必読の一冊です。

熊谷 亮丸 監修、大和総研 編著
この1冊でわかる 世界経済の新常識2017

「米国大統領選挙」「Brexit」「中国『バブル』崩壊」「FinTech」・・・私たちの日常生活には、「世界経済」に関するニュースがあふれています。本書では、トランプ大統領誕生による米国経済への影響をはじめ、世界経済はどんな仕組みで動いているのか、なぜ世界経済の動きが日本経済に影響を及ぼすのかなどについて、わかりやすく解説しています。