経済分析レポート
消費税増税の可否を検証する

1997年とは大きく異なる経済環境が消費税増税の下地に

2013年9月3日

サマリー

◆8月12日に公表された2013年4-6月期GDP一次速報は前期比+2.6%と3四半期連続のプラス成長となった。国内経済が極めて堅調に推移していると判断できる結果であったと言えよう。

◆消費税増税1年前の経済が強いことだけで消費税増税の環境が整ったと判断すると、1997年4月の消費税増税も正当化されることになる。しかし、1997年には様々な外部環境悪化の影響から、経済は大きく落ち込むこととなった。消費税増税が景気後退の主因であったとは言い難いものの、外部環境が悪い中での増税は避けるべきであるというのが、過去の教訓であろう。

◆そこで、注意深く国内環境を点検すると、1997年の消費税増税時と今は大きく異なることがわかる。1997年の景気悪化は、①アジア通貨危機の発生、②国内金融システム不安、③政策対応の失敗という三つの要素が複合的に引き起こしたものである。

◆現在、一部の新興国では為替が減価し、利上げを余儀なくされるなど、資金流出の影響が生じ始めているものの、通貨危機の再来は考えにくい。国内の金融機関の財務状況も健全であり、日本発の金融危機が国内経済を下押しする可能性はほぼゼロに等しい。さらに、今回の増税に際しては、過去の経験を教訓に適切な政策対応が打たれる可能性が高い。中国や中東など、海外経済の動向はリスクとして注視が必要であるものの、現在、日本発で国内景気に大きな影響を与える危機が発生する可能性は低いだろう。

◆以上を総括して考えれば、今回は1997年とは異なり、消費税増税を受けて景気が急減速するシナリオは避けられる見通しである。もちろん、消費税率の引き上げが消費金額の押し下げを通じて経済を収縮させる効果を持つことは事実である。しかし、財政再建が日本にとって急務であることを考えると、今回消費税増税を見送ることは日本の国際的信用を傷つける可能性が高い。激変緩和措置導入などの策を講じながら、粛々と増税を実行するべきであると考えている。

レポートをダウンロードする

お気に入りへ登録

この記事を「お気に入りレポート」に登録しておくことができます。

このレポートのURLを転送する

  • @

おすすめ関連レポート

お問い合わせ

PDFファイルの閲覧にはAdobe® Reader®新しいウィンドウで開きますが必要となります。お持ちでない方は、アドビ システムズのウェブサイトから無償ダウンロードができます。
なお、Adobe® Reader®のインストール方法は、アドビ システムズ ウェブサイト新しいウィンドウで開きますをご覧ください。

Get Adobe® Reader®

リサーチ

リサーチメールマガジン

大和総研研究員によるレポートやコラム、書籍・刊行物などの最新情報を適宜お届けします。



ダイワインターネットTV

2016年9月14日
労働市場から消えた25~44歳男性

2016年9月2日
なぜ地方は東京に追いつけないのか?

2016年8月25日
~第190回 日本経済予測~

2016年7月20日
女性の雇用環境と女性活躍推進法

書籍・刊行物

川村雄介(編)、道盛大志郎(編著)、大和総研(著)
明解 日本の財政入門

財政は全ての人々にとって、意外に身近な存在です。私たちが納めた税は何に使われ、なぜ負担が増えているのでしょうか。本書には、財政に関して知っておくべき知識が重要な38の項目に絞られています。消費税や財政赤字の問題、社会保障制度の課題などについて分かりやすく解説している本書を読めば、財政をより身近に感じられるようになるでしょう。

熊谷亮丸監修、大和総研編著
『リーダーになったら知っておきたい経済の読み方』

本書では、大和総研エコノミック・インテリジェンス・チームの選りすぐりのエコノミストが、経済指標の見方をはじめ、日本や世界経済の現状及び見通し等について、初心者の方でも理解しやすい平易な文章で、ポイントの押さえ方を解説しています。経済についてもっと詳しくなりたい方から、経済を一から学び直してみたい方まで、どんな方でも気軽に読める、面白くてためになる本を目指して執筆しました。是非ご一読ください。