日本経済中期予測
日本経済中期予測(2012年1月)

シンクロする世界経済の中で円高・電力・増税問題を乗り切る日本経済

2012年1月23日

経済調査部 経済社会研究班
鈴木 準
溝端 幹雄
神田 慶司

サマリー

◆2011年6月の日本経済中期予測を改訂した。世界経済成長率を下方修正し、政府の復興政策や社会保障・税一体改革素案の内容を織り込んだ結果、今後10年間の日本の経済成長率(年率平均でみたトレンド)を、名目2.4%、実質1.8%と予想する。

◆為替レートは「水準」が問題なのではなく、ファンダメンタルズの変化を大幅に上回る変動が問題である。市場為替レートの過度な変動は直接的に日本経済を悪化させるだけでなく、企業が輸出競争力を維持するために名目賃金の伸びを抑制するという間接的だが重大な悪影響をもたらしている。行き過ぎた円高を解消していくためには長い目で見た円高対策が必要である。具体的には、変動相場制の過度な変動を抑制するルール作りや、日本の製造業が販売価格の下がらないようなモノ作りや下げずにすむ販売方法を目指すべきである。

◆原子力発電所の停止による電力供給の不足は、主に大口向けの電力需要の抑制や火力発電の稼働率引き上げで対処してきたが、その代償として企業活動の抑制や電力料金の引き上げ圧力へと繋がっている。こうした影響を回避するため、今後は高い安全性を確保できた原発から再稼働させると共に、市場機能やスマートグリッドによって家庭向けの電力需要を一層抑制することや、合理的で透明性の高い再生可能エネルギーの買取価格の設定、といった複合的な対策が求められる。

◆世界的に政府財政問題が深まっている中、具体的な消費税増税案を含む社会保障・税一体改革素案がまとまった意味は大きい。ただ、素案の哲学には賛同できるにしても、既存給付への切り込みは十分とはいえず、検討を先送りしている項目も多い。今後、実際に消費税増税をするための条件が整うかに注視していきたい。

レポートをダウンロードする

お気に入りへ登録

この記事を「お気に入りレポート」に登録しておくことができます。

このレポートのURLを転送する

  • @

おすすめ関連レポート

お問い合わせ

PDFファイルの閲覧にはAdobe® Reader®新しいウィンドウで開きますが必要となります。お持ちでない方は、アドビ システムズのウェブサイトから無償ダウンロードができます。
なお、Adobe® Reader®のインストール方法は、アドビ システムズ ウェブサイト新しいウィンドウで開きますをご覧ください。

Get Adobe® Reader®

リサーチ

リサーチメールマガジン

大和総研研究員によるレポートやコラム、書籍・刊行物などの最新情報を適宜お届けします。

書籍・刊行物

熊谷亮丸、大和総研
トランプ政権で日本経済はこうなる(日経プレミアシリーズ)

「波乱はなし」と思われた米大統領選で、まさかのトランプ勝利!今後の米国・日本経済では何が起きるのか?トランプ勝利で不透明感の強まる米国の通商政策や金融規制、環境政策、日本経済の先行きについて、大和総研のエコノミストたちがやさしく、わかりやすく解説しています。2017年の経済情勢を見通すうえで必読の一冊です。

熊谷 亮丸 監修、大和総研 編著
この1冊でわかる 世界経済の新常識2017

「米国大統領選挙」「Brexit」「中国『バブル』崩壊」「FinTech」・・・私たちの日常生活には、「世界経済」に関するニュースがあふれています。本書では、トランプ大統領誕生による米国経済への影響をはじめ、世界経済はどんな仕組みで動いているのか、なぜ世界経済の動きが日本経済に影響を及ぼすのかなどについて、わかりやすく解説しています。