コミュニティサイクル

2014年4月17日

解説

コミュニティサイクルの定義に確立したものはないが、従来のレンタサイクルとの違いとして、会員制であること、複数の貸出・返却ステーション(ポートともいう)が利用できることなどが挙げられる。国土交通省では、「相互利用可能な複数のサイクルポートが設置され、面的な都市交通に供されるシステム」を当面の定義としている(※1)。コミュニティサイクルの他に、サイクルシェア(リング)、バイクシェア(リング)、自転車の共同利用といった呼び方もある。

国土交通省のアンケート調査(※2)によると、日本では平成25年末現在で、54都市で本格導入が進められている(図表1)。

図表1 コミュニティサイクル実施状況

導入の目的として重視する項目(1位から3位までの回答の計)は、「観光戦略の推進」、「公共交通の機能補完」、「地域の活性化」が同数で上位となった。ただし、事業効果を分析している都市は10と全体の約2割にとどまっており、目的に向けた改善は今度の課題となっている。

本格導入した54都市のうち、公共団体が設置した都市が30、民間事業者が設置した都市が24ある。この24都市の中で設営時に財政支援・用地確保・専門家斡旋などの行政関与がある都市が14、運営時に財政支援・借地料軽減・広報実施などの行政関与がある都市が16ある(複数回答)。

日本では、最大の事業でも自転車数が1,620台、平均すると約172台と規模が大きくないが、海外では数千台規模の自転車で実施されている都市も少なくない。中国やヨーロッパには、万台規模で実施している都市もある。海外の特徴としては、行政の導入目的に大気汚染対策(※3)などがあること、公共交通との連携を前提とした都市政策の中に位置付けていることなどが挙げられる。

海外では、街中の広告規制が厳しいことからコミュニティサイクルの広告機能に注目した企業が出資するなど、税金や料金収入に頼らない仕組みを確立しているものもあり、事業の継続性を高める効果があるだろう。一方、前述のアンケートによると、日本では収益性の向上や利用者の増加に影響すると考えられる広告事業やイベントなどの附帯事業と合わせた取り組みを行っている都市は、54都市のうち24と半数を下回っている。

台数、ステーション数の規模や密度とも関係するが、海外ではICTの活用や乗り捨て方式(異なるステーションでの貸出返却が可能なワンウェイ型)の採用で利便性を向上させていることも、利用者数の多さに寄与していると考えられる。

(※1)国土交通省 平成25年2月5日開催 全国コミュニティサイクル担当者会議 資料2「コミュニティサイクルの取組状況等について」(国土交通省都市局街路交通施設課)
(※2)国土交通省 平成26年2月6日開催 全国コミュニティサイクル担当者会議 資料2「コミュニティサイクルの取組状況等について」(国土交通省都市局街路交通施設課)
(※3)パリのコミュニティサイクル「ベリブ(Vélib’)」は、もともと自動車による大気汚染軽減のために導入された。大気汚染が悪化した2014年3月13日には、ベリブと電気自動車のカーシェアリング「オートリブ(Autolib’)」の無料化や、公共交通の無料化などが発表された(独立行政法人国立環境研究所 環境展望台 海外ニュース 発表日:2014.03.13「フランス、粒子状物質による大気汚染への緊急対策を発表」)。

(2014年4月17日掲載)

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