鳥獣保護法

2013年9月11日

解説

正式には「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」という。狩猟法、鳥獣法と通称されることもある。鳥獣猟に関する制度が作られた明治時代は狩猟ルール(※1)に重点が置かれていたが、徐々に鳥獣保護の観点に立った改正(※2)や、最近では生物多様性の確保が図られ、現在の法律(※3)に至っている。

同法でいう鳥獣とは、鳥類又は哺乳類に属する野生動物である(第二条)。ただし、ニホンアシカ、アザラシ5種(ゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシ、ワモンアザラシ、クラカケアザラシ、アゴヒゲアザラシ)、ジュゴン以外の海棲哺乳類(例えば、ラッコ、オットセイ、トド、クジラ、イルカ類など)は、他の法令等(※4)で適切に保護管理されていることから適用除外される。また、いえねずみ類3種(ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ)も環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすものとして除外される。

また、同法でいう狩猟とは、法定猟法(銃器、網又はわなであって環境省令で定めるものを使用する猟法その他環境省令で定める猟法)により狩猟鳥獣を捕獲等することをいう(第二条)。狩猟鳥獣は施行規則(※5)で鳥類29種と獣類20種が指定されている(図表1)。狩猟鳥獣以外の鳥獣は、原則として捕獲が禁止される保護鳥獣ということになる。

図表1 狩猟鳥獣

法律の目的は、「鳥獣の保護を図るための事業を実施するとともに、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害を防止し、併せて猟具の使用に係る危険を予防することにより、鳥獣の保護及び狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資すること」としている(第一条)。環境大臣が農林水産大臣と連携を図りつつ、国際的・全国的な見地から国全体としての行政の方向性について「鳥獣保護事業計画の基本方針」を定めること(第三条)、都道府県知事は基本方針に即して「鳥獣保護事業計画」(図表2)を定めること(第四条)とされており、著しく増加又は減少している鳥獣がある場合においては「特定鳥獣保護管理計画」を定めることができる(第七条)となっている。

図表2 鳥獣保護事業計画の主な内容

鳥獣保護を図るための規制としては、鳥獣の捕獲等や鳥類の卵の採取等の規制(第八条、第九条)、飼養の登録の規制(第十九条)、販売等の規制(第二十三条)、鳥獣保護区の指定(第二十八条)、休猟区の指定(第三十四条)などが定められている。また、狩猟の適正化としては、特定猟具(※6)使用禁止区域の指定(第三十五条)、狩猟免許の管理(第三十九条)、狩猟者の登録(第五十五条)、猟区の認可(第六十八条)などが規定されている。

同法は狩猟法をルーツに持つため、狩猟に係る鳥獣の保護について定められており、狩猟によらない鳥獣については別の法律等によって保護が図られている。例えば、「種の保存法(※7)」では、絶滅のおそれのある希少野生動物が保護され、捕獲、譲渡などを大臣の許可制としている。また、「文化財保護法(※8)」では、学術的価値の高い動物種や生息地が天然記念物として指定され、捕獲等が制限されている。世界全体での取り組みも重要とされるため、絶滅のおそれのある野生生物の国際取引を規制する「ワシントン条約」や、生物多様性の保全、持続可能な利用、遺伝資源から得られる利益の公正・衡平な配分を目指す「生物多様性条約」などによっても保護が図られている。


(※1)「鳥獣猟規則(明治6年)」、「狩猟規則(明治25年)」、「狩猟法(明治28年)
(※2)「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」(総務省e-Gov)
(※3)「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(総務省e-Gov)
(※4)「臘虎膃肭獣猟獲取締法」(総務省e-Gov)
(※5)「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則」(総務省e-Gov)
(※6)人へ危険が及ぶ銃器とわな。
(※7)「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(総務省e-Gov)
(※8)「文化財保護法」(総務省e-Gov)

(2013年9月11日掲載)

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