PIC条約(ロッテルダム条約)

2013年6月7日

解説

有害な化学物質などの輸出に関する事前通報・同意手続(Prior Informed Consent:PIC)等を規定した条約。正式名称は“The Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade”(国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約)で、略して「PIC条約」、「ロッテルダム条約」などと呼ばれている。

地球環境問題に関する国際的な意識の高まりにより、1992年の地球環境サミットで化学物質対策も含めた地球環境問題の解決に向けて「アジェンダ21」がとりまとめられた。これを受けて、1995年の国連環境計画(UNEP)管理理事会において、有害な化学物質の適正な管理のため、事前のかつ情報に基づく同意の手続を条約とするための政府間交渉委員会を開催することが決定された。1996年からの5回にわたる政府間交渉委員会による交渉が行われ、1998年9月にロッテルダムで開催された外交会議においてこの条約が採択された。条約の発効は、2004年2月となっている。

PIC条約は、先進国で使用が禁止又は厳しく制限されている有害な化学物質や駆除剤が、化学物質のリスクに関する情報が乏しい国に輸出されることを防ぐため、輸出国は事前に輸入国政府の意思を確認した上で輸出すること等を規定している。

[条約の概要]
・締約国は、特定の化学物質について国内で使用を禁止又は厳しく制限した場合、当該措置について書面により事務局に通報する。
・締約国は、条約の附属書Ⅲに掲載された化学物質の輸入に同意するかどうかを事前に事務局に回答し、事務局はこの情報をすべての締約国に伝える。
・締約国は、附属書Ⅲに掲載された化学物質について、自国の輸出者が各締約国の輸入に関する回答に従うことを確保するための措置をとる。
・締約国は、自国において使用を禁止又は厳しく制限している物質を輸出しようとする場合は、輸入国に必要な情報を添付した輸出通知を行う。
・附属書Ⅲに記載されている化学物質や、自国において使用を禁止又は厳しく制限している化学物質を輸出する場合、当該物質の有害性や危険性に関する情報をラベル等により表示し、安全性に関する資料を輸入者に送付しなければならない。
・化学物質の有害性等に関する情報交換、技術援助などを進める。

日本など条約の締約国は、自国の輸出者が各締約国の輸入に関する回答に従うことを担保するための立法・行政措置をとることが求められる。日本では、附属書Ⅲに記載された化学物質や、自国において使用を禁止又は厳しく制限している化学物質は輸出貿易管理令における輸出承認申請の対象となっており、経済産業省令で定める手続に従い、経済産業大臣の承認を受けなければならない。また、附属書Ⅲに掲載される化学物質は、化学物質検討委員会(CRC:Chemical Review Committee)が勧告し、締約国会議において決定される手続となっている。

[参考資料]
PIC条約事務局
環境省「PIC条約」
経済産業省「PIC条約」
外務省「ロッテルダム条約(PIC)」

(2013年6月7日掲載)

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