省エネ法

2012年7月31日

解説

「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)は、石油ショック後の1979年に制定された。その後、1992年の地球サミットを契機とする気候変動問題の高まりを受け、1993年、1998年、2002年、2005年、2008年、2013年と計6回の改正が行われている。

規制分野は、「工場等(※1)」(第5条~51条)、「輸送」(第52条~71条)、「建築物」(第72条~76条の16)、「機械器具等」(第77条~81条の5)の4分野にわたる。制定当初は産業部門における省エネルギー推進に主眼が置かれていたが、近年は業務・家庭部門のエネルギー使用量が急増していることから、当該部門の内容が強化されてきている。

「工場等」の分野では、従来、年間エネルギー使用量が1,500kL(原油換算)以上の「事業所」単位において、エネルギー管理(定期報告書及び中長期計画の提出、エネルギー管理者の選任など)を義務付けてきたが、2008年の改正により年間エネルギー使用量が1,500kL以上の「事業者」単位での義務付けに変更された。これにより規制対象となる事業所が大幅に拡大された。その目的は、店舗など業務系施設を対象範囲に取り込むこと、また、経営者主導のエネルギー管理体制に移行させることにあった。

「輸送」の分野では、年間輸送量が3,000万トンキロ(※2)以上の荷主及び、輸送能力が一定基準以上(※3)の輸送事業者を対象とし、中長期計画、定期報告書の提出などを義務付けている。

「建築物」の分野では、大規模建築物(床面積2,000m2以上)を対象に、新築・増改築及び大規模修繕の際における省エネ措置の届出と、その後の維持保全状況の定期報告を義務付け、中規模建築物(床面積300m2以上)を対象に、新築・増改築の際における省エネ措置の届出と、維持保全状況の定期報告(住宅を除く)を義務付けている。また、戸建住宅の販売事業者に対しても省エネ性能の向上を促す仕組みを導入している。

「機械器具等」は、エネルギー消費機器等の製造事業者等を対象としており、エネルギー消費機器28品目(※4)においてトップランナー方式が導入されている。2013年の改正により、新たに熱損失防止建築材料の製造業者等を対象とし、断熱材がトップランナー方式に追加されることになった(2013年12月施行)。トップランナー方式とは、電気製品等の省エネ基準を、現在商品化されている商品の中で最も高い機器の水準に技術進歩を加味した基準に設定し、目標年度までにその達成を義務付ける方式である。トップランナー方式は、世界最高水準を誇る日本の省エネ製品の開発を後押ししてきたといわれている。

2013年の改正では、東日本大震災後の電力不足を背景に、「工場等」及び「輸送」の分野で電気需要の平準化を促す内容が追加された(2014年4月施行)。具体的には、電気需要の多い時間帯(※5)の電気を、①電気以外の燃料や熱に転換(コージェネレーションやガス空調等)、②他の時間帯にシフト(製造工程見直し、蓄電池等)、③カットする(省エネ、BEMSアグリゲータや電気料金メニュー等のサービス活用等)ことが指針(※6)に示されている。省エネ法は、時代の変遷とともに目的が多様化・複雑化しており、強化の方向へと向かっている。今後も日本の低炭素社会構築に向けて重要な役割を担う法律となるだろう。

(※1)工場または事務所その他の事業場のこと(本社、支店、デパート、ホテル、病院、学校等が含まれる)
(※2)輸送重量(トン)と輸送距離(キロ)を積算したもの
(※3)鉄道300両、トラック200台、バス200台、タクシー350台、船舶2万総トン(総船腹量)、航空9千トン(総最大離陸重量)を基準とする
(※4)乗用自動車、エアコン、蛍光灯、テレビ、複写機、電子計算機、磁気ディスク装置、貨物自動車、ビデオテープレコーダー、冷蔵庫、冷凍庫、ストーブ、ガス調理器、ガス温水器、石油温水器、電気便座、自動販売機、変圧器、炊飯器、電子レンジ、DVDレコーダー、ルーター、スイッチング機器、複合機、プリンター、ヒートポンプ給湯器、三相誘導電動機、LEDランプ
(※5)全国一律で7~9月(夏期)及び12~3月(冬期)の8~22時のこと(土日祝日を含む)
(※6)工場等における電気の需要の平準化に資する措置に関する事業者の指針(平成25年12月27日経済産業省告示271号)

(2012年7月17日掲載)
(2014年7月22日更新)

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