ESGレポート
シェールガスを武器に脱石炭に向かう米国(下)

石炭火力への公的金融支援停止が意味するもの

サマリー

◆オバマ政権は昨年6月、CO₂排出削減の観点から、途上国における石炭火力発電所建設への公的金融支援を原則として停止し、他国や国際開発金融機関にも同様の方針を採択するよう働きかける計画を発表した。

◆以降、世銀グループや欧州投資銀行などの複数の国際開発金融機関、また英国やオランダなど欧州の数カ国が、米国に同調する姿勢を見せている。

◆世界のCO₂収支は、人間活動による排出量が自然の吸収量を超える「赤字」の状態が続いており、大気中の温室効果ガス濃度は2011年にCO₂換算で416ppmに達した。国際社会が目指す450ppmでの安定化のためには、確かに石炭火力の行方は鍵となろう。

◆世界の発電部門における脱石炭は進むのだろうか。人口および電力需要の低成長が見込まれる先進国はゆるやかに脱石炭に向かう見通しだ。一方、人口・電力需要ともに高成長が見込まれ、豊富な石炭資源を持つ新興国では、脱石炭はかなりハードルが高いのが現状だ。米欧が石炭火力への公的金融支援を停止したとしても、BRICS新開発銀行やアジアインフラ投資銀行が新たな融資元となる可能性もある。温暖化防止の観点からは、石炭火力に代わる低炭素電源の開発普及およびコスト競争力強化がより重要となるだろう。

◆世界のCO₂排出量に占めるOECD諸国と非OECD諸国の比率は1980年に6:4だったが、2011年には4:6と逆転した。米欧が脱石炭に向かうなか、気候変動対策の鍵を握るのはますます新興国となりそうだ。

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