ESGニュース
少しずつ増えている、工学系の女子学生

平成25年度学校基本調査から

2013年10月3日

「男女共同参画白書 平成25年版(※1)」で、「人口減少と少子高齢化の下にある我が国が,国,地域,企業,世帯等あらゆるレベルで再び力強い成長の歩みを取り戻すためには,女性の活躍こそ原動力であり,成長戦略の中核となる。」と述べているように、産官学のさまざまな分野で女性の活躍が期待されている。科学技術の分野でも、女性研究者の活躍が期待されているが、そのためには女性研究者の人材プールを構成する大学や大学院における女子学生を増やすことが必要であろう。そこで、「学校基本調査(※2)」から、男女別学生数の動向を検討してみた。

図表1が、大学の学部と大学院に在籍する男女別の学生数と、学生全体に対する女子学生の占める割合(女子学生比率)について、平成元年度から平成25年度までの推移を図示したものである。直近の平成25年度では、男子学生は前年度比-1.0%の165万3千人で平成23年度から連続して学生数が減っている。一方、女子学生は前年度比+0.8%の121万6千人で、平成20年度から連続して増加している。このような状況から、女子学生比率は前年度から0.5%ポイント増の42.4%となった。

次に、平成元年度からの推移をみると、男子学生数は平成7年度頃までは増加していたが、その後はほぼ横ばいに転じ、平成13年度以降は平成17年度と22年度を除いて減少が続いている。一方、女子学生数は平成元年度からほぼ増加が続いており、平成25年度の男子学生数は平成元年度の1.1倍であるのに対し、女子学生数は2.2倍と大幅に増えた。特に、大学院での女子学生の増加が著しく、平成25年度は平成元年度の6.0倍にまで増えている。また、大学院での女子学生比率も平成元年度の15.3%から平成25年度は30.7%へと倍増している。

図表1.大学(含む大学院)の男女別学生数と女子学生比率の推移

図表2が、平成25年度時点での大学の学部での専攻分野別の女子学生比率(図中の丸印)と、学年別の女子学生数(図中の棒グラフ)を図示したものである。まず、女子学生比率をみると、人文科学(65.8%)、薬学(57.0%)、教育(59.1%)は女子学生が半数を超えているのに対し、農学(43.6%)や医・歯学(33.7%)では女子学生比率が30%から45%程度の水準となっている。さらに、理学は女子学生比率が26.2%、工学は12.3%と非常に低く、専攻分野によって女子学生比率が大きく異なっている。

次に、各学年の女子学生数をみると、女子学生が多いのは人文科学、社会科学で各学年の学生数が6万人から7万5千人程度の規模となっている。次いで多いのが教育で、各学年に2万5千人程度の学生がいる。これに対し、工学は1万人強、農学と薬学は7~8千人程度、理学と医・歯学は4~5千人程度となっている。特に、工学は学部全体の学生数が約39万人であるのに対し、女子学生数が各学年で1万人強しかいないため、女子学生比率が12.3%と低い水準にとどまっている。しかし、工学の年次ごとの女子学生数をみると、4年次の1万1千人程度から1年次は1万2千人程度まで学年が下がるほど学生数が増えている。

図表2.大学学部での専攻分野別の女子学生比率と学年別女子学生数(平成25年度時点)

独立行政法人科学技術振興機構では、「女子中高生の理系進路選択支援プログラム(※3)」の推進や「ロールモデル集 『理系女性のきらめく未来』(※4)」の発行などを進めており、さまざまな機関や大学などでも理系の女子学生を増やすための取り組みを実施している。学年が下がるほど工学の女子学生が増えているのは、このような取り組みの効果がでてきているのかもしれない。ただ、その増え方はわずかであり、依然として工学の女子学生比率は非常に低い水準にとどまっている。より一層、理系女子を増やす方策が進められ、科学技術分野における女性研究者の増加につながることが期待される。


(※1)内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 平成25年版」
(※2)文部科学省「学校基本調査」
(※3)独立行政法人科学技術振興機構「理数学習支援センター」の「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」
(※4)独立行政法人科学技術振興機構「ロールモデル集 『理系女性のきらめく未来』」

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