ESGニュース
アフリカの政府系ファンド―資源価格高騰の中で設立が続く

2013年2月1日

政府系ファンドは、2000年以降急激に増加し、2011年にも数多く設立されたことは、拙稿「設立ラッシュの続く政府系ファンド」(2012年1月25日)で記したとおりである。そこでも言及したようにアフリカの諸国は、政府系ファンドの設立に旺盛な意欲を見せている。1994年にダイヤモンドの売却収入等を原資としてボツワナが政府系ファンドを設立して以降、ガボン、アルジェリア、赤道ギニア、モーリタニア、リビアなどが原油・ガスの売却収入等を原資としたファンドの運用を開始している。

アフリカ開発銀行によれば(※1)、現在14の政府系ファンドが設立済みであり、リビア(650億ドル)、アルジェリア(567億ドル)など、大きな資金を有するファンドも少なくない。2011年から2012年にかけてアンゴラ、ガーナ、ナイジェリアで新たに設立された他、タンザニアが設立することを決めたという。

多くの国々が政府系ファンドを設立する動機は、いくつかある。産油国などでは、資源輸出による利得を後世代に継承するための器として設立する動機が強いといわれるが、他にも資源価格の変動が国家財政の変動に直結しないよう、積立金を緩衝材とすることも動機となる。資源価格が高止まりしている中で資源売却収入を全額支出するのではなく、ファンドにプールすることで長期的に平準化させ、財政の安定を図ろうとするのは自然であろう。アフリカ諸国においても、資源の輸出によって現在の経済成長を実現するとともに、資源枯渇後の将来の国づくりに向けた資産運用をも目的にしている。

政府系ファンドの運用先は、先進国の債券や企業の株式の他、不動産やインフラに広がっている。運用はインハウスで行う場合もあるが、多くは外部の運用会社に委託されており、運用ビジネスの新たなマーケットとなりつつある。アフリカ諸国の政府系ファンドに特徴的なのは、アフリカ域内への投資が比較的目立つことである。アンゴラの政府系ファンドは、サハラ砂漠以南のインフラや観光関連に比較的多くの投資を行う意図があるという(※2)。アフリカの人口は急増しており、2050年には東アジアを抜いて世界人口の2割強に達すると予測されているだけでなく、年齢構成も若年層が多く、2010年時点で19歳以下の人口が過半であり、中国やインド、東南アジア、中南米と比較しても、若年人口が多い(※3)。今後の成長が期待できる地域であり、投資先としての魅力は小さくないと考えられる。

もちろん、アフリカは広く、経済・文化・民族は多様性に富んでいる。武力紛争や政治的混乱は珍しいことではなく、投資収益の予測は困難であるし、ファンドの管理運用における透明性も高いものではない。とはいえ、アフリカが投資資金の受入国であると同時に、投資資金の源泉としてもそのプレゼンスを高めていることは確かであろう。

(※1)African Development Bank “The Boom in African Sovereign Wealth Funds”(Jan.11, 2013)
(※2)Africa AM “Angola SWF to target growth sectors across sub-Saharan Africa”(19 Oct. 2012)
(※3)国連 “World Population Prospects, the 2010 Revision”

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