「攻め」のリスクマネジメントに向けて

リスクマネジメントの発展とBCM(事業継続マネジメント)

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  • 横溝 聰史

サマリー

◆昨今のコーポレートガバナンス強化の中で、リスクマネジメントは会社法で要請され、その仕組みが発展してきている。一般的にリスクマネジメントは、企業価値の毀損を防ぐ「守り」の要素が強いが、その発展過程の中で最終的には企業価値の向上に繋がる「攻め」のリスクマネジメントに辿りつくと言える。


◆リスクマネジメントの対象範囲も、「コントロールするリスク」から、リスクを敢えてとってより大きなリターンを得る「戦略リスク」を対象範囲に加えて、企業価値の毀損を防ぐだけではなく、企業価値の向上を図る企業もある。


◆リスクマネジメントは、各部門の中で完結する「個別型」から、全社で統合して行う「統合型」、更にリスクマネジメントの対象範囲に「戦略リスク」を加えた「全リスク型」、最終的には「コントロールするリスク」に対しても企業価値向上を図る改革的なリスク対策を行う「最終型」の「攻め」のリスクマネジメントへと発展すると考えられる。


◆「攻め」のリスクマネジメントの一つの施策として考えられるのが、事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)である。近時の日本で起きた地震等の自然災害に対し、事業継続計画を予め策定し、維持・継続により有効性を高め、リスクに強い企業となることが主眼である。さらに、BCMは、有事にあっても事業を継続させるだけでなく、その取り組みを通じて、より効率的・効果的な業務プロセス等を実現することで企業価値の向上にも繋がり得る。


◆但し、全社・全サプライチェーンを視野に入れた不断の取り組みが要求されるBCMを企業価値向上に結び付けるためには、経営者のコミットメントが不可欠である。

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