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消費市場としてのミャンマー進出 ~その魅力と課題点(前編)~

2013年10月24日

アジア事業開発グループ シニアコンサルタント 芦田 栄一郎

ミャンマー国は2011年3月の民政化、経済の開放路線が評価され、アジア最後のフロンティアとして同国への投資はますます注目を集めている。


日系企業におけるミャンマー進出の目的は何であろうか。ここに『ミャンマー進出検討企業等に関する基礎調査』による興味深いデータがある(図表1参照)。本調査で対象とした進出検討日系企業50社(22業種)のビジネスモデル分類では、ミャンマーに進出した場合の目的は販売型が46%で最も多く、次いで生産・販売型が26%、生産型が18%、駐在員事務所等のその他が10%となっている。マス・メディアの報道等で、「安価で豊富な労働力、勤勉な国民性を活用した生産拠点として有望な投資先」というイメージのあるミャンマーであるが、人口規模などのファクトに加えて、期待感もあり、有望な市場として捉える企業が多いことが示唆される。

図表1:ミャンマー進出を検討する日系企業50社の業種およびビジネスモデル

そこで、本稿では、ミャンマーが有望な消費市場として期待されている背景と課題点について整理してみる。


◆有望な消費市場として期待される5つの背景

  1. 人口規模
    人口約6200万人(2011年、IMF推計)を擁する人口規模は基礎的なファクトとしてプラスと考えてよいであろう。
  2. 人口ピラミッドから見る消費購買層への期待
    ミャンマーは現在、平均年齢が約27.2歳(2012年CIA推計)、労働人口が約2800万人(2010年、国際労働機関推計)である。図表2を見てわかるように男女ともに20歳前後の人口がボリュームゾーンとなっている。このことは、今後この若年層が20年、30年と労働の担い手となり、収入を得る年齢層と考えられ、家庭を築くなどして、消費を牽引していく層であると期待される。また、若い世代は一般に新しい文化や価値観を受け入れやすいため、日本製品を含めて海外の製品の購買にも抵抗感が少ないと考えられる。
    図表2:ミャンマーの男女・年齢別人口構成

  3. 経済成長性
    ミャンマーは2011年3月に軍事政権から民政移管し、経済改革を急ピッチで進めている。市場経済の発展が進み、経済開放に動き出していることが評価され始めている。今後の経済成長に伴う国民の所得上昇、すなわち購買力のアップが期待できる。
  4. 新外国投資法
    外国企業がミャンマーへの進出を検討する場合、関連する最も重要な法律の1つが外国投資法であり、2012年11月に改正された(以下、「新外国投資法」という)。また2013年1月には同法の運用ガイドラインとして施行細則が公表された。
    「新外国投資法」では、小売や卸売に関して、2015年以降ではあるが大型店に限って認められるとも読める。規定に曖昧な箇所や整合性が取れない内容もあり、詳細条件を確認しながら進めることが必要ではあるが、販売に関して外資企業の参入の可能性が広がったと解釈してよいであろう。
  5. 実態としての購買力
    ミャンマーにおける一人当たりのGDPは824ドル/人(図表3参照)とASEAN諸国の中でも低い値となっているが、ミャンマーの最大都市ヤンゴンを訪れると、この一人当たりのGDPデータ値から連想されるものとはかけ離れた購買力を目の当たりにすることが多い。現地の所得水準では手が届かないはずの多くの自動車が走り、店頭に並んでいるスマートフォン、パソコンなどの電化製品が売れて行き、高級大型ショッピングセンターや高級食材を扱うようなスーパーマーケットも多くの人でにぎわっている。実態として一定水準以上の消費者層が存在することを認めざるを得ない。複数の小売業者の専門家と情報交換をしたが「高度成長期の日本の購買力を彷彿とさせる」という意見を聞いた。小売りのプロ達が口をそろえて言うのである。一人当たりのGDP統計データはあくまでも参考とし、自らが現地リサーチすることの重要性を再認識した。

図表3:ASEAN各国の一人当たりGDP比較

以上、「消費市場としてのミャンマー進出 ~その魅力と課題点(前編)~」ではミャンマーが有望な消費市場として期待されている5つの背景について整理した。


次回、後編では、その課題点についても述べていきたい。

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