SPECIAL INTERVIEW

“挑戦”こそがキャリアの材料
エンジニアから代表、そして、さらなる理想へ

Fintertech株式会社 代表取締役社長 相原 一也

はじめに

幾多の挑戦により発展を遂げてきた大和証券グループでは、自己実現を図りたいという意欲と能力のある社員のキャリア形成を後押しする「グループ内公募制度」が積極的に活用されています。自ら道を切り拓き、独自のキャリアアップを遂げた相原一也さんは、2005年に大和総研に入社し、システムエンジニアからキャリアをスタート。さまざまな挑戦を重ねた末に、現在は大和証券グループのベンチャー企業で代表を務めています。彼がFintertechのトップになるまでのキャリアと、未来に向けた想いを紹介します。

Fintertechとは

大和証券グループ本社の子会社として2018年に設立。
「次世代金融」をテーマに、テクノロジーの活用による新たな金融サービスを提供している。

キャリアの歩み

  1. 大和総研入社/システム基盤開発

    大和証券グループ向けのインフラ開発・保守に従事。システムの標準化にも取り組み、社員の生産性や品質向上にも貢献。

  2. 部署異動~/先端技術のリサーチ業務

    入社5年目に、上司に薦められ社内公募されていた新ポジションに応募し、部署異動。金融システムと先端ITに関する調査・情報発信業務に携わる。

  3. 海外プロジェクトに参加

    入社9年目〜10年目にかけて、ミャンマーの証券取引システム構築プロジェクトに参加。現地と日本を行き来しながら、多様な業務に取り組む。

  4. 部署異動~/先端技術の研究開発チームのマネジメント

    大和総研として先端IT領域の調査・分析を強化するべきと上司に提言。自らAI・データ分析チームを立ち上げる他、ブロックチェーンやRPA等の先端技術の調査・研究を推進。

  5. Fintertech株式会社へ出向

    入社14年目、大和証券グループとして新たに設立されたFintertech株式会社へ出向。新会社設立に伴う自社システム構築や事業開始準備と並行して、Fintech領域における新規事業の立ち上げの検討を行う。

  6. 現在/Fintertech株式会社 代表取締役社長

    ブロックチェーン技術を活用した金融サービスの開発責任者を経て、2023年4月に代表取締役社長に就任。大和総研入社から19年目。

大和総研時代

2005 - 2015 役割にとらわれず「改善」と「挑戦」を続けた

私のキャリアはインフラエンジニアとして始まりました。システム基盤の開発・保守を行いながら、部署内の課題だった標準化に着手。もともと、物事を「もっと良くしたい」という気持ちが人一倍強いので、その思いに突き動かされて目についた課題の改善を続けてきました。そんな姿を見た当時の上司から薦められたのが、先端技術のリサーチを行う部署への挑戦でした。これが私のキャリアの最初のターニングポイント。リサーチ業務に携わったことで、金融ビジネスとITの全体像や、その中で大和総研が向かうべき方向について自分なりの見解を持てるようになりました。
先端技術の調査・情報発信やシステム開発効率化のためのツール開発・社内導入検証に携わるなかで、それまでと全く異なる仕事に挑戦するきっかけが訪れたのは、入社9年目のことです。ミャンマーで証券取引システムを構築するプロジェクトに参加し、政府との交渉を含めてITとは直結しない多様な仕事に取り組みました。経験がなくとも前へ進める。そんな自信やたくましさが身についたのは、手探りで正解を探し続けたミャンマーでの日々から得た成果です。

Fintertechへの出向

2015 - 2020 先端技術の調査研究の先頭に立ち、新会社設立に関わる

大和総研の将来を見据えると、今こそ先端IT領域の研究・開発をさらに強化するべきだと考えた私は、上司に提言。現在のフロンティア研究開発センターの前身となる部署で、先端技術に関する調査から研究・開発を行うチームリーダーを任されることになりました。当時取り組んだテーマの一つであるデータサイエンス領域については、現在の大和総研の注力分野であり、その立ち上げに貢献できたことを嬉しく思います。この頃は「新しいことを始めるなら相原」と周囲から認識され、どんどん面白い仕事が舞い込む状態でした。
そんななか、FinTechに大きな可能性を見出した大和証券グループ本社が旗振り役となり、グループ横断型のワーキンググループが発足。いくつかの分会が立ち上がり、私はブロックチェーン分会のリーダーに抜擢されました。
こうして業務と並行しながらワーキンググループの活動を推進するなかで、テクノロジーを活用した新たな金融サービスの提供を目指してFintertech株式会社の設立が決定。私は同社へ出向し、会社の立ち上げに関わることになったのです。

Fintertechの代表取締役へ

2020 - 2023 事業開発に邁進するなか、思いがけず代表に

Fintertechはベンチャー企業らしいチャレンジングな会社です。「テクノロジー×金融」という大枠のテーマは決まっていたものの、具体的にどんなサービスを提供するのかは、私たちメンバーに委ねられました。
そこで、私が開発責任者としてメンバーとともに生み出したのが、Fintertechを象徴するサービスとなる「デジタルアセット担保ローン」。これは、ブロックチェーン技術によって生まれた暗号資産を担保に資金を融資する新しい金融サービスです。分からないことだらけの状態に苦労しながらも、一歩ずつ前進してサービスを開始することができました。現在までに多くの方にご利用いただいており、「このサービスのおかげで夢を実現できました」といった嬉しい声も聞こえています。
創業以来、Fintertechを「もっと良くしたい」という思いで仕事に邁進してきました。そんなある日、思いもよらない連絡が。私に次期社長を任せたいという内示でした。こうして2023年4月に、代表取締役社長に就任しました。
就任後は、クラウド型応援金サービス「KASSAI」と、貸付型クラウドファンディング「Funvest」の両事業も業務範囲に加わり、事業の垣根を越えた相乗効果が生まれるような取組みを進めています。
また、暗号資産を活用した2つ目のサービスとなる貸暗号資産サービス「デジタルアセットステーク(消費貸借)」を開始し、新しい金融サービスへの挑戦を続けています。

未来に向けて

理想を追い求め、キャリアは現在進行形

いくつもの困難に直面しながらも、事業の立ち上げは一区切りがつきました。今後は10年先に向けてサービスを成長させていくフェーズです。ブロックチェーン技術によるWeb3.0時代の到来を見据え、今ある金融事業を変革していく。今回の社長交代は、その舵取りを託されたのだと思っています。拝命にあたり、「非連続な成長を成し遂げられる組織を作ってほしい」という言葉もいただきました。非常に難しいミッションですが、これまで大和総研で学ばせてもらったすべてをフル活用しながら、さまざまな分野の専門家の力を助けに、前へと進んで行きます。
会社の代表になることがゴールではありません。社会から必要とされることや新しいことに挑戦する時に、一番に呼ばれる人になる。そんな理想の姿を追い求めて、これからも果敢に変わり続けていくつもりです。

CHALLENGE

チャレンジできる環境だからこそ

自分らしく誇れるキャリアを育めた

大和総研で過ごした挑戦の日々が、今の私のキャリアをつくってくれました。もちろん、私が「こう改善したいです」と提案したうちのすべてに挑戦できたわけではありません。しかし、たくさん提案したうちのいくつかは「やってみろ」と挑戦させてもらえて、実際に改善したことで人に貢献する喜びを味わってきました。
大和総研には多様な仕事と機会があり、本人が望めばそれまで経験したことのない仕事にも挑戦できる環境だと言えます。また、大和証券グループとしてもテクノロジーの活用に注力する流れがあるので、大和総研の果たす役割はますます大きくなっていると感じます。「新しい価値を創造する」というこの上なく面白い大仕事に挑んできた大和総研での日々は、私の誇りです。

記載された写真および原稿は2023年4月時点のものです。