健康保険組合向け
セキュリティクラウド
構築プロジェクト

専門事業者との
アライアンスを広げ
健康保険組合向けサービスの
新たな可能性を提案する

病気やケガなどの際の医療費負担を抑え、暮らしの安心を支えている「健康保険」。日本では「国民皆保険」の考えのもとに充実した保険制度を整えており、大企業や業界団体が設ける「健康保険組合」がその一翼を担っている。そうした中、全国約1,400の健康保険組合のうち約430を超える組合にサービスを提供し、基幹業務システムのトップシェアを誇るのが大和総研である。お客様からの高い評価が後押しになり今もシェアを伸ばし続けているが、さらなるお客様満足の向上と顧客拡大のため、この事業を担う社会保険システム担当のメンバーは新たな挑戦に踏み出した。基幹業務の他に健康保険組合の様々なニーズに応えつつ、セキュリティの観点から「KOSMOセキュリティクラウド」を事業者向けに開放し、高度な専門性を持つ企業とのアライアンスにより、サービスの拡充を加速させることを決断したのである。

プロジェクトメンバーProject Members

  • システムコンサルティング企画部
    事業企画担当
    藪 伊久男
  • コーポレートIT
    コンサルティング部
    営業担当
    池本 秀行
  • コーポレート
    プラットフォーム部
    アプリケーション開発担当
    小川 浩太朗
  • コーポレート
    プラットフォーム部
    インフラ設計・構築担当
    鈴木 周作
基幹業務だけでなく
周辺業務も含めてワンストップで対応したい

健康保険組合が担う業務には様々なものがあり、近年は支出適正化のための医療費の厳格なチェックや、組合員が健康を保つための「データヘルス計画」の策定・実施が国から求められるなど、その業務の負荷は大幅に増していた。基幹業務システムでトップシェアを誇る大和総研も、お客様を取り巻くそうした環境変化を十分に認識し、幅広いニーズに対応できるインフラとして「KOSMOセキュリティクラウド」を提供する。マイナンバー情報や診療歴など極めて機密性の高い個人情報を扱う基幹業務システムの安全性を確保しつつ、保健事業や関連業務などのサービスと連携して柔軟に利用できるのがKOSMOセキュリティクラウドだ。お客様のあらゆるニーズに応える、ワンストップサービスの提供を目指した。しかし、健康保険組合の業務には医療に関する高度な専門知識を求められるものも多く、乗り越えるべき壁が高いのも事実だった。

近年、ビジネスの世界で注目される動きに「オープンイノベーション」がある。異なる企業が力を合わせ、互いの強みを取り込むことで現状の革新を図ろうという取り組みである。KOSMOセキュリティクラウドも、社会保険分野の専門性に強みを持った事業者と連携することによりサービスの拡充を図れるのではないか。以前から、このサービス基盤のポテンシャルの高さに着目していたシステムコンサルティング企画部の藪は、そう考え動き始めた。

システムコンサルティング企画部 事業企画担当 藪 伊久男システムコンサルティング企画部 事業企画担当 藪 伊久男
VOICE

システムコンサルティング企画部は、金融機関や一般企業、健康保険組合向けシステムにおける新ビジネスの企画・推進を担っている部署です。私たちはこれまで、自社でシステムを開発し運用することでセキュリティについても品質を担保し、実際それがお客様にも評価されてきました。しかし、高いセキュリティ品質を維持しつつ、社外の専門事業者と連携を図ることによりお客様へのサービス拡充を進めることができるはず。そうした考えが今回のプロジェクトの出発点でした。アライアンスの効果が高い、特別な強みを持ち実績もある事業者との折衝は、合意形成までに時間がかかるのが現実です。それでも今回は、なるべく早く新サービスを具体化して「大和総研は変わった」、「こんな要望にも応えてくれるのでは」と、お客様の期待を広げることを最優先に考えました。

多角的な検討と折衝の結果
「レセプト点検」の提供を実現

今回のプロジェクトはまず、健康保険組合には基幹業務の他にどのような業務があり、何がとくに重要で、そこにはどのような専門会社があるのかといった全体像の確認から始まった。この作業を推進する両翼となったのがシステムコンサルティング企画部の藪と、営業担当の池本である。藪が全体的なビジネスプランを描き、健康保険組合向けの事業に精通した池本が具体化をする。2人が様々な可能性を探る中、いち早く実現性が見えてきたのが「レセプト点検」という業務だった。

健康保険の加入者が病気やケガなどで病院に診てもらったとき、診療費や薬代などの請求を記した「レセプト」が健康保険組合に届く。その金額や、過剰な診療がないかなどをチェックする業務がレセプト点検である。チェックには医療関係の特別な知識が必要で、各健康保険組合は個別に専門事業者と契約し、この業務を委託している。一方、レセプトのデータ自体は基幹システムで管理しており、点検業務だけが別立てでデータの出し入れを行う形になっていた。しかもそのやり取りは、プリントアウトした紙媒体や、CDなどの記録媒体で行われていたのである。藪と池本は、手間はもちろんセキュリティ面からも課題があることに着目し、レセプト点検を専門に行う複数の事業者にヒアリングを行った。そして実現したのが、業界最大手である「大正オーディット」との業務提携だ。大和総研にとっては、大正オーディットとの提携によりKOSMOセキュリティクラウドのサービス拡充が大きく前進する。大正オーディットとしても、大和総研の顧客基盤を活かすことで、さらなる事業拡大が可能になる。業務提携の第1弾となる今回のプロジェクトは、まさにWin-Winの関係が具現化した好例になった。

コーポレートITコンサルティング部 営業担当 池本 秀行コーポレートITコンサルティング部 営業担当 池本 秀行
VOICE

所属部署の営業の中でも、私は主に新規の顧客開拓を担当しています。「KOSMOセキュリティクラウド」のサービス拡充は、我々が提案する商品力の強化に他ならず、大きな期待を持ってこのプロジェクトに加わりました。システムコンサルティング企画部の藪とは、私が知る業界内の様々な事業者から「これは」と思う会社を選び出し、一緒にヒアリングを行いましたが、改めて認識したのが事業企画の重要性です。会社や事業部全体の方針を理解しつつ、大きなビジネスプランを描く。日々の営業活動を通してお客様のニーズを掘り起こす力を磨いてきましたが、これに事業企画のような大局的な視点を加えることで、大正オーディットとの業務提携に寄与することができました。KOSMOセキュリティクラウドのサービス拡充は期待通りのご好評をいただき、基幹業務システムの新規顧客開拓にも大きな武器となっています。また「この業務も頼めないか」など、新たなニーズの掘り起こしにも役立っており、今は「次の一歩」に向け検討や折衝を進めているところです。

スムーズな運用にも配慮して
システムの開発を進める

アプリケーションやインフラなどの開発・構築を担うプロジェクトメンバーの活動は、アライアンス相手が概ね固まった段階から本格化した。最初に着手したのは、通常のシステム開発と同じく要件を確定すること。アプリケーション開発を担う小川が中心となって健康保険組合と大正オーディットにヒアリングを行い、レセプトのデータが現状ではどのようにやり取りされているかを把握する。大正オーディット側にも現在使っているシステムがあり、基幹業務システムとの連携も図らなければならない。

システムの概要が決まれば、鈴木たちインフラ設計チームの動きも本格化する。小川と要件を共有し、鈴木は2つの案を出した。基幹業務用として運用しているサーバー上に仮想的なサーバーを設けるか、別に新たなサーバーを導入し基幹システムとつなげるか。検討を重ねた結果、セキュリティ確保の面などからサーバーの新規導入に決まった。
社外の事業者を本格的に巻き込むプロジェクトだけに、アプリケーション、インフラともに、最も気を遣ったのが運用開始後におけるルールづくりだった。思わぬトラブルや、お客様からの突然の変更依頼があったとき、事業者や社内の関係者、お客様の役割を明確にし、どのように対処するかを、あらかじめフローチャートやマニュアルに落とし込んだ。
当初から、早いサービスの具現化を目標にしていたこともあり、KOSMOセキュリティクラウドでのレセプト点検サービスの提供は、着手から1年で運用開始となった。しかしこれは、あくまでも真のワンストップサービスに向けての第一歩。
「プロジェクトの進捗を報告するたびに、担当役員から『協業先とWin-Winの関係を築くように』と念を押されました。それには企業風土の違いを含めた相互理解が重要で、今後もこの姿勢を保ちながら新たなアライアンス先を見つけ、持続的なサービス拡充を目指します」。システムコンサルティング企画部の藪は力強くそう語り、前を向いた。

コーポレートプラットフォーム部 アプリケーション開発担当 小川 浩太朗コーポレートプラットフォーム部 アプリケーション開発担当 小川 浩太朗
VOICE

構想フェーズではシステムコンサルティング企画部や営業が、実現フェーズにおいては我々アプリケーション開発が中心となり、プロジェクト推進の音頭を取りました。今回のアプリケーション開発で主となったのは、健康保険組合の方が使う入力画面と、健康保険組合・大正オーディット・当社の間でデータをやり取りするシステムです。私は他にも様々な業界向けのアプリケーション開発に携わっていますが、今回のプロジェクトでは、健康保険組合における当社への信頼の厚さを実感しました。基幹業務システムのトップシェアを誇り、新たな施策の導入について厚生労働省から意見を求められるほどの企業だからこその信頼と期待を感じ、あらためて気を引き締めて開発に取り組みました。

コーポレートプラットフォーム部 インフラ設計・構築担当 鈴木 周作コーポレートプラットフォーム部 インフラ設計・構築担当 鈴木 周作
VOICE

今回のプロジェクトでは、当社のサーバーに社外の事業者がログインすることになるため、自社のサーバーのセキュリティを保ちつつ、社外の事業者とのデータのやり取りもスムーズに行えるようインフラ構築を進めました。私にとって馴染みのある仮想サーバーではなく、実際にサーバーを導入してのシステム構築は初めての経験で、機器の選定やエラー監視の方法など、貴重な知識を得ることができました。また、今回とくに留意したのが、リリース後に保守部門が事業者から依頼を受けたときの対処フローの用意です。開発段階から事業者、保守部門それぞれに綿密なヒアリングを行ったおかげで、精度の高いフローが構築できたと思っています。