ミャンマー
プロジェクトMyanmar Project

金融インフラを
ゼロから築き上げる
巨大なプロジェクト

“アジア最後のビジネスフロンティア”として、今後の経済発展と海外企業の進出が期待されるミャンマー。1996年にミャンマー国営銀行との共同出資でミャンマー取引センターを設立してから、大和総研では長くこの国と付き合ってきた経緯がある。2008年以降、民主化の進展により資本市場育成の取り組みが活発化。2013年からはじまったヤンゴン証券取引所とその運営を担う証券会社のシステム構築は、一国の金融インフラをゼロから築き上げる巨大なプロジェクトとなる。2016年の取引スタートを目指し、大和総研をはじめ、日本取引所グループ、日本政府、ミャンマー政府が動き出した。

プロジェクトメンバーProject Members

  • グローバルサービス支援部
    副部長
    石川 裕靖
  • 基幹システム開発二部
    次長
    亀田 賢司
  • グローバルサービス支援部
    主任
    高橋 健太郎
証券取引のない国で始まった、ゼロからのシステム構築

通常、システム構築のプロジェクトでは、ユーザーからの要望を受け、それを実現するための方針を協議していく。しかし、そもそも資本市場を運営した歴史のないミャンマーには、証券取引所も証券会社も存在しない。そのため、プロジェクトは、ユーザーがいない状況で始めることになる。ミャンマー市場のあるべき姿とは。現地のビジネス慣習なども鑑みた上で、証券業務の専門家である大和証券や日本取引所グループと協議をくり返し、株式上場のプロセスなどの業務設計を実施した。さらには日本の金融庁をアドバイザーに、法律で作成と管理が義務づけられている書類の内容や制度面も整備。その上で、プロジェクトチームはシステム構築を進めていった。

グローバルサービス支援部 副部長 石川 裕靖グローバルサービス支援部 副部長 石川 裕靖
VOICE

金融市場はもちろん、ITインフラも脆弱なミャンマーでのプロジェクトは苦労の連続でした。例えば、取引所や証券会社のシステムにアクセスするためには、ネットワーク回線が欠かせないのですが、現地で発注したところ、「国全体の回線状況が悪化しているため、新規の回線申し込みは受け付けない」と国営業者から断られました。何度申し入れをしても受け入れられず、最終的にはミャンマー政府で証券取引所を推進する省庁から通信を所管する省庁に対して大臣クラスの回線開通の申し入れによりようやくネットワーク回線敷設が認められました。課題を乗り越えるため、一国の大臣に動いていただいたことに、プロジェクトの規模の大きさを実感しました。

鍵は変更に対応できる柔軟性

ミャンマーで設立する証券会社は、証券取引所の運営を担うことになる。そこで使用するシステムがどうあるべきか。ユーザーがいない中、メンバーは自ら立てた仮説をもとに、画面やデータ処理の設計を進めた。ミャンマーでは、証券に関する税制など制度面も不透明なため、できる限り業務に合わせて柔軟にシステムを変更ができるように検討した。構築後も調整を重ねていった結果、システムは大きな問題を起こすことなく稼働しはじめた。プロジェクトメンバー全員が参加し、現地ではじめて実施したシステムのデモンストレーションの様子は、新聞でも取り上げられるほど注目を集めた。

基幹システム開発二部 次長 亀田 賢司基幹システム開発二部 次長 亀田 賢司
VOICE

証券会社設立に向けて、システムの要件定義から開発までを一貫して担当しました。ミャンマーの資本市場・証券市場育成を支援し、一国を相手にするスケールの大きなプロジェクトですから、関わる部署も組織も多様でした。社内でも、システムのインターフェースを担うフロント、データ処理を行うバック、ネットワークなどシステム基盤を構築するインフラ、稼働を維持する運用といったチームがありましたし、社外でも機器選定などを通じ多くの企業と関わりました。もちろん、ミャンマーの人々も重要なステークホルダーです。役割や文化が違う人々とコミュニケーションをとりながら進めるプロジェクトは刺激的で、多様な考えとの出会いが自身の成長にもつながったと感じています。このシステムによって市場が発展すれば、企業の資金調達もスムーズになり、ミャンマーという国の発展にもつながるでしょう。プロジェクトは、そんな想いとともに進めていきました。

システムが無事に稼働し、ミャンマー初の証券取引が開設された

ヤンゴン証券取引所は、2016年3月25日に開設された。直前には、大和総研から10名ほどのメンバーが現地を訪れ、500以上におよぶシステム移行や各種作業の確認をとりまとめ、何度もリハーサルをくり返した。軽微な問題はいくつか発生したものの、システムは無事に稼働。取引所のシステムにより、売り手と買い手のマッチングが行われ、上場銘柄の初値がついた瞬間、プロジェクトの成果が目に見える形となって現れた。ミャンマーではじめての証券取引ということもあり、スタート時の取引数は少量となることも予想されたが、各証券会社の窓口には投資家が殺到した。我先にと口座が開かれていく盛況ぶりは、“アジア最後のビジネスフロンティア”と言われる新興国のこれからの発展を感じさせるものだった。

取引所のオープンによって、システム構築のミッションは完遂された。現在は保守・運用のフェーズに入るとともに、現地法人や大和証券、日本取引所グループなどと情報連携し、ミャンマー市場の活性化について議論するなど、国レベルの貢献プロジェクトとして活動は継続している。

グローバルサービス支援部 主任 高橋 健太郎グローバルサービス支援部 主任 高橋 健太郎
VOICE

入社1年目の秋から、ミャンマー証券会社で発注などユーザーが直接操作する部分を担うフロントシステム開発チームにアサインされ、できあがったシステムが仕様通りに動作するかどうかの確認段階から参加しました。本番の取引がはじまる2カ月前からはミャンマーに出張し、システムのリリースをつきっきりで支援。証券業務に対応したシステムの開発、ネットワークの稼働を維持する業務、業者との保守契約の交渉と締結、海外業務といった幅広い経験が、スキル向上につながっています。特に、証券取引所を訪問し、システム構築を支援する目的で設立された当社の現地法人の代表としてユーザーの質問に対応した経験は貴重でした。取引所業務のプロに対して、システムのことを理解しやすいように英語で説明するのは難易度の高いミッションでしたが、事前に資料を用意するなど十分に準備することで乗り越えることができました。