桃栗三年、柿八年、新入社員は石の上にも何年?

2018年2月15日

20数年前に社会人になった時に、聞かされた伝説がある。一つは、“三年後には新入社員の3割は辞めている”であり、もう一つが“35歳をすぎると転職が難しくなる”だった。前者については、自らが4年目になった時に、どれくらい同期は残っているのだろうと思いを馳せたものだが、後者については、幸いかな、実験せずに今に至っているために何ともコメントできない。

厚生労働省のデータを見ると(※1)、新規大学卒就職者のうち就職1年目で離職した者は2016年3月卒(以下はいずれも3月卒)で約5万人を数える。景気の良し悪しによって就職者数は異なるが、バブル期からの過去30年間の1年目の離職率を振り返ると、最も低かったのが1993年卒の9.4%であり、2000年卒の15.7%が最も高かった(ちなみに2016年卒は11.3%)。

また、過去の大卒就職率(内定率、1997年卒~)を新卒離職率と比較すると、1年目の離職率とは、緩やかな相関関係が見られる。つまり、就職率が低い時に入社した者ほど離職率が高いという関係である。景気が悪い中、せっかく就職できたのにそのように簡単に辞めてしまうものかという感覚がある一方、不本意な就活をしたことから、より良い条件が見つかれば、辞めることへの躊躇はあまりないと解釈できよう。

次に、就職後3年以内に離職した比率を見ると、同じくアップダウンはあるものの、2014年卒までの28年間の平均は31.3%となり、冒頭の伝説は数字で裏付けられたといえよう。しかも、直近の2014年卒(32.2%)を含めた過去4年間は横ばいにとどまり、2000年卒~2005年卒の平均35.8%を下回っている。“雇用の流動化”というフレーズを聞いて久しいが、新卒の離職率に限ってみれば、大きく高まることもなく、概ね横ばい圏で推移しているのである。

昨今のニュースを見ると、新卒の売り手市場など人手不足の深刻さが強調されるのとは対照的に、金融機関の大規模な人員削減計画や、小売やメーカーなどの大量の希望退職者募集なども散見される。人員削減は、業界動向・展望を踏まえた上での長期計画であり、新規採用の抑制や退職等の自然減も考慮しているとみられる。一方で、業績不振のために、お荷物となった部門を縮小するという、従来型のリストラも見られ、企業・産業の新陳代謝を促す上では避けて通れない問題だ。いずれにしても、企業としては、現状や先行きを考えると抱えきれないという経営判断があるのだろう。

2018年3月大学卒業予定者の就職内定率(12/1時点)は86.0%と、調査開始以来、同時期での過去最高を記録したという(※2)。果たして、どれだけの新人が、今春入社する企業に辛抱し続けられるだろうか。

(※1)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553.html
(※2)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000190551.html

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