「道」を始めませんか?

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2018年01月22日

  • 河口 真理子

1月も後半になるとお正月気分もすっかり抜けたが、1月は日本人らしさを一番感じる時期のような気がする。おせち料理はあまり好きではないという人が多いにもかかわらず、コンビニでも手軽に売っている。テレビ番組でも和装姿がぐっと増える。デパートなどでも和風のディスプレーが華やかになり琴の音色が流れてきたりする。また多くの人が出かける初詣はとても日本的な儀式でもある。そしてやっと正月気分が抜けたと思ったらコンビニでは節分・恵方巻きを宣伝しており1月・2月は「和的」な時期といえるのではないか。


そこで、和の気分に浸っているこの時期に是非考えていただきたいのは日本的「道」への入門である。海外への渡航だけでなく、インバウンドでの外国人訪問客へのおもてなしの面からも、和の芸が何か出来るほうが、人としての競争力は増すはず。筆者が学生時代IMFのインターンで米国に滞在した際、アジアからのインターンなんて日本人位だった。日本的な芸が何もできなくてもアジアからの代表の「日本人」としてチヤホヤされたものだ。


しかし。今や海外では、まず中国人か韓国人に間違えられ、ジャパンと言っても「どこ?」と言われたりする。実際ベトナムの国際リゾート地で筆者はホテルの従業員にそういわれ、ショックであった。アジア人のなかでも日本のプレゼンスは著しく低下しており、海外に行っても誰もチヤホヤなんかしてくれない。実際そういう目にあうと、愛国的な人間だと思っていなくても、国際社会における日本人としてのプレゼンスを高めないとまずいという気持ちになる。


で、そのために手っ取り早い手段が和の芸の取得あるいは再開である。特に何か習い事を始めようかな~と考えている人には是非このように考えていただきたい。例えば音楽の場合ギターを新たに習う代わりに三味線、フルートの代わりに尺八とか篠笛。ドラムの代わりに和太鼓、フラワーアレンジメントの代わりに華道、フェンシングの代わりに剣道。何故かというと、バイオリンとか西洋の楽器で欧米人から認められるにはかなり上手でないとダメだが、和のものは国際的にあまりメジャーじゃないので日本人がパフォーマンスすると、なんかよくわからないけど上手に思われるからだ。
また成人式の晴れ着の被害でイメージが悪くなった着物だが、これは日本人女性には一番似合うと思う。そもそも民族衣装というものはその民族を一番美しく見せるようにご先祖様たちが作り上げてきたものだからだ。


また観劇に行くならバレエやオペラもいいが、たまには能や歌舞伎、文楽なども面白いものだ。「ダイ・ハード」のように何度殺されそうになっても絶対にヒーローは生き残って勝つというハリウッド映画に毒された身には、親の仇を討ちに行った主人公が仇にあっさり殺されるなんて不条理なシナリオは結構刺激的だ。


当然子供のころから習っていたからこうした「道」の心得があるという人も少なくないだろう。でも、もし現在やめてしまっていたら再開されてはどうか?子供の頃ではわからなかった「道」の奥深い和の哲学や精神が垣間見えてくると思う。

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