アメリカ政府のデータはすべて公開へ

2015年8月26日

  • ニューヨークリサーチセンター シニアエコノミスト 土屋 貴裕

アメリカのテレビのチャンネル数には驚かされた。様々な思想、宗教、言語に対応して何百チャンネルもあり、偏った内容や、特定の情報のみを延々と繰り返しているチャンネルもある。各自の嗜好に合わせた番組だけを見ることも可能で、民放が2局しかなかった自らの子供時代との差はすさまじく、「昨日のテレビ見た?」という会話は難しい。

国土が広いせいなのか、新聞各紙の発行部数も日本ほど多くはない。そもそも「全国紙」がほとんどなく、3億以上の人口がいることを踏まえると、新聞各紙が及ぼす影響の範囲も限定的だろう。何でもインターネットにつなげるご時世ながら、インターネットを利用していないアメリカ人もいるそうで、つまり多様な選択肢があって、マスメディアを通じた情報共有や合意形成は案外、難しいということになる。選択肢をほぼ2つに減らすことで、緩やかな合意形成ができるのは、2大政党制の利点だろう。

2大政党制の問題点としては、少数意見が十分に反映されないことが挙げられる。多くの選択肢が提示されたときに、それでも合意形成ができるのだろうか。

冷静になって客観的な裏付けが欲しい時にも、アメリカではオバマ政権発足以降、政府が保有するデータの利用を推進するため、幅広いデータが公表されている。有名人の発言などに自らの考えが左右されがちでも、「大本営発表」で世論が操作されるリスクも、ポピュリズムが衆愚政治に陥るリスクも小さくなるのではないか。閉じられた組織内部だけでデータを持つことは「官僚的」になってしまう恐れがあるのだろう。企業などを含めて、データを幅広く公表することは、納得性を高めることにつながると考えられる。

また、オープンになったデータを用いることで、新たな需要や市場を発見できるかもしれない。軍事目的だったインターネットやGPSが民生利用されて大きな産業の基盤になったように、経済的にもこれらのデータが大きな産業を生み出す可能性があるということだ。

ただし、情報公開の対となるべき個人情報保護は、まだまだのようだ。大手小売チェーンなどからクレジットカード情報を含む個人情報の大量流出事件がたびたび発生した。どこでどう情報が漏れるのか、筆者の所にも様々な勧誘の手紙、電話、メールがやってくる。ニューヨーク州司法局によると、同州では2006~13年、2,280万人分の個人情報が漏れたとされ、企業や団体が持つ顧客らの個人情報保護を強化する方向だが、まだ連邦レベルではない。

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