市場からみた女性取締役の登用

2015年2月18日

少子高齢化が急速に進むなか、労働力人口を維持するという量的な面だけでなく、女性の活躍が日本の成長につながるという質的な面においても女性の活躍推進が求められており、企業においても女性の活躍推進がパフォーマンスの向上につながることが期待されている。2013年4月の「政府の経済界への要請 ~女性の活躍推進関係~」で、「まずは役員に一人は女性を登用する」ことが政府から経済界へ要請されているなど、企業における女性の活躍推進を端的に示す指標が女性取締役の登用であろう。

GMI Ratings“GMI Ratings’2013 Women on Boards Survey”によると、調査対象国のうち先進国20か国全体の2013年3月での女性取締役比率は11.8%で、女性取締役が存在する企業は66.6%となっている。一方、データが取得できた日本企業1,870社を対象に女性取締役の状況をみると、取締役数全体に占める女性取締役の比率は1.5%で、女性取締役が存在する企業は10.8%に相当する202社であった(※1)。国際的にみて日本企業の取締役における女性の登用は、まだそれほど進んでいないようである。

次に、女性取締役が存在する企業202社のうち、173社は女性取締役が1人となっている。女性取締役が1人であっても、取締役全体の人数が少なければ意見が反映されやすいなど、取締役全体の人数により意味合いは異なろう。そこで、女性取締役が存在するが、取締役に占める比率が10%未満の企業でポートフォリオを作成し、リターンを分析した。女性取締役比率が10%に満たないということは、10人を超える取締役のうち女性が1人しかいないということになる。

2010年初から2014年末までの5年間について、前月末の時価総額加重による月次リバランスによるリターンを計測したところ、配当込みTOPIXの年率リターンが11.5%であったのに対し、このポートフォリオの年率リターンは7.8%にとどまり、市場全体を大きく下回った(※2)。これは女性取締役比率とリターンとの因果関係を示すものではないが、リターンが市場全体を下回ったことは、女性の活躍推進が進行途上にあると考えられ、女性取締役の登用が企業の成長にまでつながっていない可能性や、株式市場からポジティブな評価を得るには至っていない可能性があるのではないか。

女性取締役の登用は企業における女性の活躍推進にとって大きな意味があろうが、単なる数値目標の達成ではなく、女性の継続就業やキャリア育成の支援、出産・子育て等で退職した女性社員の再雇用など、女性の活躍推進が実際に企業の成長に資するような環境を整備していくことが求められよう。

(※1)2015年1月9日にブルームバーグより取得。
(※2)詳細は、拙稿「ESGポートフォリオのリターン分析① ~女性活躍関連のポートフォリオ~」(2015年2月6日付レポート)を参照。

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