「地方創生」vs「東京国際金融センター」

2014年10月23日

「地方創生」の一環として、企業の本社機能を東京から地方に移転させようとする施策が検討されている。一方で国家戦略特区に指定された東京は、企業の集積を図ろうとしている。一見して相反する施策は同時に成立し得るのだろうか?

東京都では、特区の目玉として「東京国際金融センター構想」を掲げている。これはすなわち、世界からの集積を目指すものであり、国内から企業を集めようとする意図ではない。そして国際金融センターにおいては、密なコミュニケーションを図る必要があり、東京に集積させるのが最も合理的な考え方だ。

それでは、地方は関係ないかと言えば、そうではない。東京における金融機能の高度化は、地方に対してさまざまなメリットをもたらすはずである。まず一つは、日本全体の産業活性化につながることである。金融の力が増せば、企業の新陳代謝の促進や、民間からのリスクマネー供給を活性化させる効果が期待される。それは地方におけるベンチャーの起業を容易にさせるなど、地方創生をバックアップするものとなり得る。

第二は、東京ならではの国際金融センターを目指すにあたって、日本の文化的魅力が大きな武器になることだ。地方における観光資源がヒトを引き付けることは、すでに明らかになりつつある。東京・地方が一体となって訴求力を高めることができれば、相乗的な効果が期待できる。金融センターとは世界各国のエグゼクティブが頻繁に訪れる場所である。彼らに対する「おもてなし」を東京ではなく地方で行う、というプランはインパクトを持ち得るのではないだろうか。

第三は、東京に金融機能が集積することは、同時にバックアップ機能の充実が求められることだ。日本は災害大国と言ってもよい状況になりつつある。東京は、首都直下地震のみならず、富士山の噴火など、海外からさまざまなリスクを抱えた都市と見られている可能性もある。その懸念を払拭するためには、バックアップのネットワーク構築がポイントであり、いかに地方と連携していくかが重要な鍵となるはずだ。

東京が国際金融センターになるということは、実は日本の金融業が真にグローバル化することを意味している。これまで国内での熾烈なシェア争いで収益性を低下させてきたが、グローバルで戦うには、国内の過当競争から脱し、収益性を向上させることが必須条件となってくる。金融セクターの収益性が高まれば、金融機関がリスクを取れるようになり、地方の産業にも資金が供給されるという好循環が期待される。

これらの相乗効果・好循環は、現時点では理想論の域を出ていないかもしれない。しかし、いつまでも都市vs地方の構図で物事を考えていては、前進はないのではないか。

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