人口1億人維持を考える

2014年7月10日

政府は6月24日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で、「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」という人口目標を政府として初めて掲げた。1億人という規模は必ずしも日本列島に住む理想的な人口というわけではなさそうである。とはいえ、人口がずっと減り続けるのでは、経済社会が持続可能な状態でないのは明らかであり、出生率を回復させていくという目標を持つことは必要である。生まれてくる子どもの男女比は男性が若干高いことや出産可能年齢以下で死亡する女性がいることを考慮すると、人口が一定数を維持できるためには、合計特殊出生率を2.08程度とする必要があるとされており、これをどう実現するかという課題になる。

日本の合計特殊出生率は、2013年1.43となり、ボトムであった2005年の1.26からやや回復しているものの、依然としてかなり低いと言わざるを得ない(厚生労働省「平成25年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)。欧州でも70年代以降少子化が進んでいたが、フランスやスウェーデンが家族政策への支出を増やし、合計特殊出生率を2程度まで回復させることに成功した。まず、これらの欧州諸国並みの規模で少子化対策に取り組むことが必要だろう。ただし、克服すべきポイントは欧州諸国とは異なるのかもしれない。

そもそも日本の合計特殊出生率は70年代になってから2を下回って低下してきたが、その背景にはさまざまな要因があるだろう。まず、第一に晩産化や非産化、またそれらの原因である晩婚化、非婚化という社会の傾向がある。「結婚したい時が適齢期」なのだろうと思うし、個々人に対して早く婚姻すべきであるなどというのは控えたいが、どうも現在の晩婚化や晩産化は必ずしも望んでそうなっているというわけでもなさそうだ。国立社会保障・人口問題研究所の調査(「第14回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査」 独身者調査)によると、2010年時点で未婚者が結婚したいと思う年齢(平均希望結婚年齢)は、18~34歳の男性で30.4歳、女性で28.4歳となっている。希望年齢はやや上昇傾向があるものの、実際にはこの年齢では多くの人が結婚を実現できていない。夫婦への調査(同調査 夫婦調査)では、理想的な子どもの数(平均理想子ども数)は、低下しているものの2.42人であるが、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」理想の子ども数を持てないという回答が一番多い。「結婚したくても経済的にできない」とか「子どもは欲しいが経済的に難しい」という問題の解決を政策の優先課題とすべきだろう。しかし、そうした課題を解決できても、出生率は1.7程度にしか高まらないと予想される。2を超えるようにするには、何がしか文化的な面での社会の変化が必要なのかもしれない。

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