音楽ビジネスの多様化

輸出産業に育てられるか?

2013年9月5日

一般社団法人日本レコード協会の発表によれば2012年は音楽ソフトの生産金額が3,108億円と12%増加し、1999年にマイナスを示してから14年ぶりの増加となったそうである。ただし、今年に入って1-7月の累計では1,533億円で前年同期比5%減少しており、完全に増加トレンドに転換回帰したとは言い難いようだ。有料音楽配信も、着信メロディの後退で、PCやスマートフォンへの音楽配信の増加が相殺されて低迷しているのが実態のようだ。まだまだ、音楽産業の試練は続くのかもしれない。

とはいえ、音楽産業では大ヒットもあれば、鳴かず飛ばずということもあり、ビジネスとして見たときには、もともと格差の非常に大きい業種である。個々のビジネスにとってみれば、全体でみて成長産業であるかどうかはあまり問題ではないのかもしれない。仮に日本の音楽産業が成長産業の位置を取り戻すのであれば、おそらく輸出へのシフトに成功できるかどうかがポイントになるのであろう。

そもそも、人の音楽とのかかわり方が変化している。その変化を捉えた音楽産業の多様化も必然だろう。聴く音楽(レコード、CDなど)から、歌う音楽=カラオケが大きく加わったのは1980年代だった。カラオケは海外でも大いに流行したが、国内では次第に量的には低迷してきた。一般社団法人全国カラオケ事業者協会によれば、1996年に160,680あったカラオケボックスルームは2012年には130,400へと減少している。参加人口も4,600万人台で停滞傾向が続いている。そろそろ国内でのカラオケ人口は飽和してきているのかもしれない。しかし、通信カラオケの発達で曲目の幅が飛躍的に充実し、老若男女が参加するようになり、質的にはかなり進化したサービスとなった。また海外での発展余地はまだ相当あるのではなかろうか。

もうひとつのトレンドは単純にカラオケで歌うところから、「演奏する」「作曲する」への動きである。かつてもバンドブームはあったが、若年層中心であった。今でも学生バンドの数は衰えていないようだが、社会人で継続するのはそう易しくない。子育てに忙しい時期が終わったあたりの中年層以上を対象にしたバンドコンテストなども刺激を与えたようだが、近年は60歳以上の方を中心とするバンド活動が活発化しているらしい。時間に余裕のできた人々がアクティブな生活を続ける手段として、音楽に限らずスポーツなどにも積極的な活動の場を求めているようである。高年者を主な対象にした音楽教室なども広がってきているようだ。

このように音楽ビジネスは多様化し、ますます消費者を音楽活動の中に取り込んでいくという形に変化している。ただし、日本の人口は減少傾向にあり、国内市場で成長産業に戻ることはないだろう。所得の向上と高齢化の進行の経験を活かして、日本の音楽ビジネスも海外へ積極的に展開していくことが求められているのではないだろうか。

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