ニューヨーク情報:どんぶり勘定

2012年8月29日

アメリカ経済は個人消費を中心にまわっている。GDPに占める個人消費の割合は約7割と、最も大きい。そのため、アメリカ経済を語る上では、個人消費に加えて、所得や雇用、住宅市場など消費に関わる部分もよくフォーカスされている。


しかし、個人消費は重要であるにもかかわらず把握することが難しい。以前のコラム(2012年2月28日掲載「ニューヨーク情報:返品は文化?」)で触れたように、大量に買い、大量に返品するなどが良い例だろう。消費者は店頭やオンラインなど買うタイミングでは予算制約に縛られず嗜好に沿った購買を行い、自宅に帰ってからお財布と相談しながら選ぶ。消費をみる上では購入だけでなく、目に見えにくい返品分も考慮する必要がある。


また、チップという制度も消費を捉えづらくしている。ニューヨークではレストランで支払うチップは15~25%程度という相場がある。もちろんメニューにはチップの金額が書いているわけではなく、また外税表示のため税金も含まれていない。大まかな感覚でメニューの金額を見ながら料理を選び、おいしく食事をする。そして食後のコーヒーをすすりながら本当の金額を知るのである。ニューヨーク市で食事をした場合の税金は8.875%、それに15%~25%程度のチップを加えてようやく本当の金額となる。表示金額に加えて30%前後多く支払う必要があるうえに、上乗せ金額の大部分を占めるチップはウェイターの対応などを基に金額を決定するので最後まで決められない。


タクシーに乗っても、到着して請求された金額に加えて10~20%程度(最近は20%以上を求められる傾向にある)のチップを支払う。その他にもホテルのポーター、駐車場の係員などありとあらゆるところで、この不確定な支出が発生する。


一方、例えば売店などで5.03ドルの商品に対して10ドル札で支払うと5ドル札が返ってくることもある。受け取るほうも支払うほうも良く言えば「おおらか」、悪く言えば「大雑把」なのである。私自身、ニューヨークへ来たばかりの頃は家計簿をきっちりつけようと燃えていたが、郷に入っては郷に従えのことわざを盾に、大雑把な家計管理をしている。


このように「適度」に大雑把な家計管理は、返品などによって後から帳尻を合わせることもできるが、アメリカ人のお財布の紐を緩める効果があるのではないだろうか。もちろんどの国であろうとも「適度」が難しいことに変わりはないが。

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