グローバル化はさらに進む

2012年6月7日

  • 理事 木村浩一
リーマン・ショック後、世界の失業率が上昇し、特に、先進国での悪化が鮮明になっており、中でも若者の失業が深刻化している。先進国の低成長がその原因だが、経済のグローバル化と途上国における生産年齢人口の増加により、雇用の海外流出が続いていることがその背景にある。

国連の世界人口予測によれば、1990~2010年の20年間に先進国の15~64歳の生産年齢人口は、7.65億人から8.34億人に6900万人増加したが、先進国以外の生産年齢人口はこの間、24.74億人から36.89億人に12.15億人増加し、先進国からの雇用流出と労働コスト低下の主因となっている。

先進国の生産年齢人口は、第2次世界大戦後増加し続けてきたが、2010年にピークをつけ、今後は減少する見込みになっており、2020年までの10年間では、先進国の生産年齢人口は1800万人減少する。一方、先進国以外では、今後10年間でさらに5.25億人増加する予測となっており、ピークをつけるのは2090年(53.10億人、2010年比+16.20億人)で、2090年まで一貫して増え続けていく見通しになっている。世界の人口動態で見る限り、21世紀は先進国では恒常的に雇用悪化、特に若者の失業率の高止まりが続く見込みである。

我が国でも若者ほど失業率が高くなっており、中高年の雇用が優先され経験や専門知識が乏しい若者がそのしわ寄せを受けている。

我が国の財政は膨大な債務を抱え込んでいるが、その返済は現在の若い世代や将来の世代に先送りされている。2005年の経済白書は、50歳代以上の世代は、政府部門に対する税、社会保障などの負担より、年金、医療費などの政府部門からの受益が大幅に上回っているが、40歳代以下の世代は負担超過となり、特に将来世代(20歳未満と今後生まれてくる世代)はその生涯で4585万円の負担超過となると分析している。

若者に現役世代が作った借金の負担を押し付け、さらに正規の職や収入獲得の道を閉ざしては、若者や将来世代の生活水準を二重、三重に引き下げる悪循環に陥っていく。次世代を担う若者の生活を守り、若者の将来への夢を奪わないためには、一刻も早く財政を再建するとともに、経済を回復させ若者に職を与えることが必要だろう。

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