SRIファンドの運用は小型株から大型株、グロース株からバリュー株へとシフトか?

2011年8月24日

SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)ファンドは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)などの要因を投資プロセスに加えることで、企業の成長性やリスクなどを多角的に捉え、投資パフォーマンスの向上や社会への貢献などを目指すファンドとされている。SRIファンドは、株式などのリスク資産に投資するファンドであり、ファンドへの投資を考える際には、そのリスク特性を把握する必要があろう。そこで、SRIファンドのリスク特性をみるために、Eurekahedge(※1)のデータベースに収録されているファンドを対象として、SRIファンド全体の資産構成を推計してみた(※2)

2008年1月から2011年6月までのデータを使って、各月から24ヵ月間の平均的な構成比を推計したところ、株式の構成比(図中の小型グロース株から大型バリュー株までの合計)は90%前後の高い水準を推移し、残りが債券またはキャッシュとなっている。SRIファンドは、常に株式の構成比が高いファンドとなっているようである。株式以外の部分は、ほとんど債券が占めているが、キャッシュの構成比が高まっている時期がある。これは、推計期間に2008年の金融危機の影響によりリスク資産からの資金流出が発生した時期を含んでおり、安全資産へと運用をシフトさせたことや、ファンドの解約に備えてキャッシュ比率を高めたことを反映したのではないかと思われる。

次に、株式について詳細にみると、分析期間の初めは小型グロース株の構成比が3割程度となっていたが、その後は徐々に低下が続き、代わりに増えたのが大型グロース株であった。また、最近は大型グロース株の構成比が低下しているのに対し、大型バリュー株の構成比が高まっている。これは、金融危機や欧州問題などで株式市場が大きく下落したことで株式のリスクが強く意識されたことや、今後の成長性への疑問が生じたことなどから、小型株よりも大型株、株式の成長性を重視するグロース株よりも現時点での割安度に注目するバリュー株が選好されたのではないかと考えられる。もちろん、ここで示したのはあくまでもモデルによる推計ではあるが、SRIファンド全体の運用は小型株から大型株、グロース株からバリュー株へとシフトしていることが示唆されよう。SRIファンドへの投資を考える際には、このようなリスク特性の変化にも注意が必要ではないか。

SRIファンドの資産構成推計値の推移
(注)推計時点は、推計期間の末時点を表示
(出所)Eurekahedge、MSCI、Merrill Lynchなどより大和総研作成

(※1)Eurekahedgeのデータは、各運用機関及び外部の情報を元に作成しております。Eurekahedge及びその関係者は情報の正確性、完全性、市場性、仮定、計算などについて保証を行っておりません。情報の閲覧・利用者は、データの使用に際して、情報における全てのリスクを認識し、負う必要があります。Eurekahedgeではデータ及び情報に基づくいかなる理由の損害に関しても責任を負いかねます。データは、特定のファンド、有価証券、または金融商品、会社への投資に関する勧誘或いは販売勧誘を構成するものではなく、また、独立、金融機関、専門家としての助言として解釈されるべきではありません。

(※2)下記を説明変数とし、係数が非負で合計が1となるように制約を付けた回帰モデルにより推計。
株式:    MSCI All Country World Index Large Cap Value
       MSCI All Country World Index Large Cap Growth
       MSCI All Country World Index SMID(Small+Mid Cap) Value
       MSCI All Country World Index SMID(Small+Mid Cap) Growth
債券:    Merrill Lynch Global Government Bond Index Ⅱ
キャッシュ: LIBOR 1ヵ月物

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