ポテンシャルが非常に高い日本の地熱発電

2011年6月21日

火山大国の日本では、地熱発電は有望な再生可能エネルギーとなりうる。産業技術総合研究所の推計によると、日本では2,347万kWもの地熱資源(150℃以上の熱水系資源)があるとされており、インドネシア(2007年、2,779万kW)や米国(同2,300万kW)と並ぶ世界最大級の地熱資源量を有している。さらに、より温度の低い温泉発電(53~120℃)(※1)による資源量(833万kW)と合わせると、日本には3,180万kWもの地熱資源量が存在することになる。

しかし、図で示すように、現在の日本における地熱発電設備容量はわずか53万kW(全設備容量の0.2%)にとどまっており 、1999年の八丈島地熱発電所以降、新規の開発はストップしている。また発電量は28億kWhと全発電量に占める割合も0.3%に過ぎない。その理由として、地熱資源量が豊富な地域の多くは国立・国定公園に指定されており、自然公園法によって開発ができない(指定外地域にある開発可能な地熱資源量は約425万kW)ことや、また温泉地に隣接している場合が多いため、温泉泉源の枯渇懸念で温泉組合からの反対が強いことがある。さらに、建設にかかる初期コストが1kW当たり100万円と高額(風力発電は20万円/kW、太陽光発電は37万円/kW、原子力発電所45万円/kW)であり、政策的な支援を十分に受けていないためにコストが下がっていないという理由もある。

ただし、自然公園法による規制は景観を壊さないように配慮すればよいし、最近では温泉源泉と直接競合しない高温岩体発電(HDR:Hot Dry Rock geothermal power)やEGS(Enhanced Geothermal Systems)発電などの新しい技術(※2) も開発されている。しかも、日本の地熱発電プラントの技術力は世界的に見て非常に高く、実際、ニュージーランドや米国等へ発電設備を輸出している。地熱発電は初期コストが高いものの、維持費が安く、長期運用を行えば発電単価は9円/kW程度まで下がるとも言われている(※3)。CO2の排出量も水力発電と並んで最も低い部類にある。

そして、地熱発電が他の再生可能エネルギーと異なる最大の特徴は、稼働率が70%程度で安定しており、原子力発電に代わるベース電源としての役割が期待できることである。これらを総合的に勘案すると、地熱は再生可能エネルギーとしてのポテンシャルが非常に高いものと思われる。

(※1)温泉発電では低温熱源(温度の低い蒸気や熱水)でも発電できるよう、沸点が100℃未満のアンモニア水やペタンなどの液体を低温熱源で気化させることで、タービンを回して発電する方式。バイナリー発電とも呼ばれる。
(※2)高温岩体発電は、1~3km地下にある高温の岩体に地上から水を投入して、人工的に蒸気や熱水を発生させることでタービンを回す発電方式である。温泉は泉源である地熱貯留層に溜まった蒸気や熱水を利用するので、これを利用しない高温岩体発電は温泉泉源とは競合しないことになる。また、EGS発電はより地中深い高温岩体を利用するもので、ドイツなど地熱発電に適さない非火山国・地域で開発が進んでいる。
(※3)電力中央研究所(2003)「未利用地熱資源の開発に向けて-高温岩体発電への取り組み-」『電中研レビューNo.49』

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