今、日本は変われるか

2011年3月22日

今回の東北地方太平洋沖地震やそれに伴う原発事故によって、東日本という広範な地域に対して様々な甚大なる被害をもたらした。日本の復興にはまず何よりも、地震に遭われた被災者の救助や物的・人的支援を最優先すべきである。それと同時に、今回被災していない地域が中心となって、日本経済を一刻も早く成長軌道に乗せていくための体制作りが急務である。

しかし、我々は長期的な人口減少局面に入っている。限られた人材を有効に活用して日本を成長軌道に乗せるには、多様なバックグラウンドを持った人々をうまく雇用できるような、柔軟な雇用システムが求められる。これまで労働参加率の低かった女性や高齢者、そして若者などの労働者を雇用に取り入れていくことが欠かせない。さらに、現在の日本経済の構造変化を考慮すると、単なる労働や資本の増加だけでなく、生産要素の質の向上やそれらが効率的に配置されることも一層重要と考える。それが日本経済の底上げにも繋がる。

その一つとして、外国人労働者の存在も忘れてはならない。2009年末現在、日本には219万人の外国人が登録されており(※1)、そのうち70万人前後の外国人労働者がいる(※2)。内訳は3分の2が単純労働者、残り3分の1が専門的な業務を行う海外高度人材とされる。法務省の統計によると、現在の日本における海外高度人材の数は20.2万人(2009年末)、登録外国人(外国人労働者の家族なども含む外国人人口全体)に占める割合は9.2%(同)である(※3)

政府は2010年6月に閣議決定した「新成長戦略」で海外高度人材の積極的な受入を目指している。日本に在籍する外国人留学生の数も14万人(日本学生支援機構、2010年)で徐々に増加しており、日本での就職希望も多く、海外高度人材の予備軍としてこうした外国人留学生への期待は高まっている。しかし、実際には日本での就職を困難にする日本特有の雇用制度が障壁となり、なかなか日本の企業に定着しないそうである。新しい発想を国内に取り込む海外高度人材はイノベーションの源泉であり、現在、世界の主要都市ではその獲得競争が繰り広げられている。そうした現状を考えると、昇進や昇給を柔軟化するなど、多様性を受け入れられる汎用性の高い雇用システムへ移行していく必要もあるのではないか。

最近では日本企業もM&Aなどを通じて、その活動拠点を海外へ積極的に広げつつある。しかし、外国人労働者や外資参入といった海外から国内へ向かう動きは必ずしも活発ではない。今、直面するこの難局に立ち向かうためには、これまでの国内の経済・社会体制をもう一度見直してみるべきではないか。その一つとして、外国人労働者の問題ももっと真剣に議論されてもよいと思う。

図 日本の海外高度人材の推移

(※1)法務省「外国人登録者統計」
(※2)労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2010」および厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(平成22年10月末現在)」
(※3)海外高度人材の定義は、「経済財政改革の基本方針2008(平成20年6月27日)」や高度人材受入推進会議「外国高度人材受入政策の本格的展開を(平成21年5月29日)」のものを採用

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