株主総会と役員報酬開示

2010年6月24日

現在、3月決算会社が株主総会シーズンを迎えている。今年の株主総会における注目点として、役員報酬についての株主の質問に会社がどのように回答・説明するか、がある。

2010年3月31日の開示府令改正を受けて、上場会社は、詳細な役員報酬に関する情報開示が求められることとなった。具体的には、有価証券報告書の中で、(1)1億円以上の報酬等を受け取っている役員についての個別開示、(2)報酬等の種類別の内訳の開示、(3)「役員報酬等の決定方針」開示が義務付けられた。ところが、有価証券報告書の提出は、定時株主総会の後になるケースが多い。2009年12月11日の開示府令改正により、定時株主総会前に有価証券報告書を提出することも可能となったが、未だ、この制度を利用する会社が少数にとどまるためである。

そのため、株主が、近日中に有価証券報告書で開示される役員報酬、とりわけ1億円以上の報酬等を受け取っている役員に関する情報を、株主総会の場で明らかにするように会社に求めるケースが見られる。これに対して会社側としては、株主総会時点では未公表の役員報酬に関する情報について、どのように対応すればよいかが問題となる。

法律論としては、次のような理解が一般的なようである。定時株主総会における説明義務の範囲は、あくまでも会社法上の事業報告や計算書類などであり、金融商品取引法に基づく有価証券報告書について説明義務はない。ただし、会社が任意で回答することは差し支えない。

報道を見る限り、こうした考えに基づいて、質問があれば有価証券報告書に記載する範囲で回答・説明する、というスタンスの会社が今のところ多いようである。円滑な株主総会運営という観点から、どうせ近日中に明らかになる内容について、頑なに回答を拒否することは得策ではないという判断も働いているのであろう。

また、一部には「法令上の義務はない」と回答を拒否した会社もあったようである。その他、1億円以上の報酬等を受け取っている役員がいないのでホッと胸をなでおろしている会社もあることだろう(もっとも、役員の報酬は低い方がよいというものでもないように思われるが・・・)。そうした中、「株主に議論して欲しい」という観点から、総会前に株主に送付する会社法上の事業報告の中で開示を行った会社があったことは注目に値する。

「1億円」という基準を含めて、役員報酬等の個別開示の是非やその効果を巡っては、様々な議論がある。ただ、少なくとも、この問題についての会社の(株主に対する)説明姿勢を明らかにした点で、一定の効果を認めてよいのではないかと考えられる。今後、提出される有価証券報告書の記載内容(特に「役員報酬等の決定方針」)を合わせて見れば、会社がどれくらい真摯に株主・投資者と向き合って、その報酬体系やインセンティブ構造を説明しようとしているのか、その姿勢が更に明らかになるものと思われる。

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