もし子ども手当の満額支給ができなかったら

2010年4月8日

子ども手当法案が3月26日に成立した。いよいよ新年度が始まり、政府・与党の最重要政策と位置づけられる子ども手当が始動する。民主党のマニフェストでは2011年度以降、子ども手当を月額26,000円に増加させ満額支給とする予定である。

政府・与党は今夏の参院選に向けてマニフェストの修正に着手しており、巨額の財源を必要とする子ども手当の満額支給の是非も検討課題にあがっている。

子ども手当満額支給に向けた財政上のハードルは非常に高い。2010年度においても、子ども手当の半額支給(及び高校無償化)のための財源のうち約1兆5,200億円については事業仕分け等で捻出した税外収入を用いてなんとか賄うことができた。しかし、2011年度は2010年度ほど税外収入が見込めず、子ども手当の満額支給のための財源不足額約4兆700億円を調達することは非常に困難と考えられる。

一方、2011年度も子ども手当の半額支給を維持するならば、財源不足額は1兆4,200億円となり、2010年度比では歳出増とならない。こう考えると、子ども手当半額支給の維持は、財政規律とマニフェストとの妥結点のようにも思える。

子ども手当・高校無償化の財源

しかし、子どもを持つ世帯の家計にとっては、子ども手当の半額支給は「マニフェストの半分達成」とは評価し難い。半額支給では、満額支給と比べた手取り収入増の効果は2割程度に縮小してしまう。

子ども手当が当初の予定通り2011年度から満額支給となれば、例えば年収500万円の4人世帯では手取り年収は最終的に39万7,900円増加するが、半額支給が続けば手取り年収の増加は僅か8万5,900円に留まる。「子どもを社会全体で育てる」ために子育てに手厚い支援を行うという当初のマニフェストの目標からは大きく遠ざかることとなる。

少子化対策や家計への直接給付、貧困対策などから子ども手当を最重要政策課題として位置づけるならば、政府は歳出削減か増税で財源を捻出し、当初通り満額支給を目指すべきであろう(※1)

一方で、財政規律を重視し、子ども手当の満額支給を諦めるならば、マニフェストの大幅な修正と国民への説明が求められるだろう。

政府・与党は子ども手当の満額支給を巡って難しい決断を迫られることになる。

子ども手当と税制改正による世帯の手取り年収への影響

(※1)現在の不況期には積極的な財政政策が必要であり、今は増税する機ではないと考えるならば、将来の財政再建への道筋を明確に示し、一時的な国債発行の増加に理解を求めるという方法も考えられる。

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