地方財政・地方公会計
地方財政分析と臨時財政対策債

交付税措置の調整前「原数値」の把握の重要性

2014年10月3日

  • コンサルティング・ソリューション第三部 主任コンサルタント 鈴木 文彦

サマリー

◆地方債のひとつ、臨時財政対策債の増加ペースが著しい。臨時財政対策債は、国税5税の一定割合とされる地方交付税の原資が、地方交付税の必要額に足りないために発行される。元利償還に要する全額が、当該地方公共団体に交付される地方交付税の算定に用いる基準財政需要額に算入される(このことを「交付税措置」という)。こうした趣旨を背景に、臨時財政対策債は地方債でありながら、地方公共団体が立て替え払いした地方交付税であるという見方がある。

◆一方、地方税、地方交付税その他の経常収入があって、人件費、物件費その他の経常経費を賄うところ、地方交付税が本来必要な額に満たないので経常収入が不足する。その不足分を臨時財政対策債で埋めているという見方もできる。この見方によれば臨時財政対策債はいわゆる赤字地方債ということになる。臨時財政対策債の債務者は起債した地方公共団体である点も忘れてはならない。

◆現状、地方財政分析におけるフロー指標の経常収支比率、ストック指標の将来負担比率ともに、臨時財政対策債による調整が施されている。臨時財政対策債は赤字地方債であるとの見方に立ち、仮に、これらの調整を無いものとしてみると、ほとんどの場合で経常収支比率が押し上がり、赤字に転落するケースもある。将来負担比率の測定対象である「将来負担額」は、実質債務のうち臨時財政対策債その他の交付税措置の対象となるものが控除されているが、これを戻入のうえ再計算した場合、将来負担額が数倍に拡大するほどのインパクトとなる。

◆当の交付税措置が、単に計算上の話ではなく、キャッシュとして地方交付税が上乗せされるという意味であれば本稿の懸念は杞憂に終わるだろう。ただし、臨時財政対策債が地方債現在高の28%を占めるに至り収束の兆しが見えない中、万一手当されないといった事態が起きた場合に備えておくに越したことはあるまい。臨時財政対策債等の調整を除いた分析指標を把握するのがその第一歩である。

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