地域・パブリック
地方自治体における民間の"連結経営"を意識した現実的な資金管理の取り組み

2013年2月27日

  • 経営コンサルティング部 主任コンサルタント 内野 逸勢

昨今、先進的な考え方を持つ地方自治体から、民間的な“経営”の概念及び仕組みの導入を検討したいという要望が増加している。これまでは、新しい公共経営(New Public Management )という概念で語られることが多かった。確かに、そのような概念はあっても現実には、地方自治法等の法律、条例、その解釈によって、地方自治体の運営が縛られている。しかし、その弊害を現実的な解決策を持って変化させていこうという意識が芽生え始めている。

民間でいう“連結経営”による資金管理もその一つである。ご存じのように、地方自治体の連結対象は、一般会計、地方公営企業会計等の複数の特別会計、外郭団体等がある。確かに、体制面では、取り決めに則って、会計毎に最適な資金管理の運営が実施されている。しかしながら、民間の連結会計のような会計全体の資金管理及びグループファイナンスの最適性からみると、部分最適に留まり、なお改善の余地もある。既に取り組みを開始している地方自治体も散見されるが、依然、有効な方法は確立されていないのが現状である。

会計全体の最適な資金管理の構築を目的とした場合、資金フローとモニタリング面と同時に、特に、地方自治体の資金管理の体制面に改善の余地があると考えられる。

体制面においては、資金管理が柔軟に行えるような体制構築が望ましい。例えば、一時借入金利息と基金の運用収益の収支のバランスを考え、資金トータルで最も確実かつ効率的な運用を選択しようとする場合、資金調達と運用の市場環境の変化が激しく、柔軟な判断が求められる資金管理に適した体制構築が必要となると考えられる。

現状、地方自治体では、原則として、総計予算主義の原則により、一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算書に計上して執行することとなっている。その例外として、歳計現金の一時的な不足を補うものとしては、①各会計相互間の歳計現金の繰替運用、②基金の繰替運用、③一時借入金等がある。

地方自治法では、会計管理者が、一般会計、各特別会計の歳計現金に過不足がある場合には、相互に繰替え運用が可能となっている。この各会計の歳計現金の不足を補う“調整”により、グループ全体の資金管理が実施されている。しかし、資金調達と運用の市場環境の変化が激しく柔軟な判断が求められる資金管理に適した体制構築、つまり資金管理の一元化、地方公営企業会計、外郭団体も含めた柔軟な連結経営体制の構築が必要となると考えられる。すなわち、(1)歳計現金の管理が柔軟に対応できる体制となっているか、(2)資金管理の主体がどの部門(例えば財政部門であるか会計管理者)であるかが問われる。

(1)の例としては、一般会計、特別会計の歳計現金及び歳入歳出外現金を一つの預金口座で一括管理している地方自治体がある。具体的には、現預金の残高の管理の基本方針の中で、「一般会計及び特別会計のそれぞれの適正な資金計画に基づく会計間相互の資金融通により本市の預金残高の縮小を図るものとする。」としている。資金管理の一括管理を一つの口座で実施し、各会計の歳計現金を有効に活用して、各会計の預金残高の縮減を図っていることから、連結ベースにおいて、歳計現金の管理を効率的に実施していると言えよう。

(2)の例としては、会計管理者と連携しながら、財政部門が中心となった資金管理体制を構築している地方自治体がある。公表資料ベースではあるが、基本的には、財政部門が、資金管理方針に基づき、預金残高の縮減を図り、資金運用と調達を一体的に実施していると解釈できる。機能的に不足している部分については、専門的な会議体(省庁関係内部局及び金融分野の専門家等により構成する会議体)によって、協議・調整を図っている。

現状では、公営企業会計と外郭団体まで含めた資金管理の一元化まで踏み込んだ体制を導入している地方自治体は見受けられない。今後は更に、資金管理の本来的な機能に基づいて、柔軟な管理が行えるように、資金管理の効率化・合理化、管理主体の工夫等が必要になってくることが考えられよう。この部分において、更なる民間の知恵と工夫が求められることとなろう。

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