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第1回 内部統制の整備、プラス思考で

2006年12月1日

「経営戦略の羅針盤」の最初の話題は、昨今、セミナーや経済誌で頻出の内部統制を取り上げたい。
このところ、内部統制の重要性が叫ばれているのは、会社法(2006年5月施行)や金融商品取引法(同年6月成立)の中で、内部統制の整備が求められるようになったからである。
なぜ、内部統制の整備が制度化されるようになったのか。
端的に言えば、企業の不正が無くならないからである。米国ではエネルギー供給会社であったエンロンの粉飾決算事件(2001年)をきっかけとして「サーベンス・オックスリー法(通称、SOX法)=企業改革法」が成立し、わが国でも西武鉄道の虚偽記載(04年10月)やカネボウの粉飾決算(05年4月)といった不正が明るみに出て、企業の財務報告における内部統制のあり方が問題視されるようになった。ただ、不正はなにもこれら財務報告ばかりでなく、欠陥製品隠し、届出データの改ざん、個人情報の流出、談合などさまざまな場面で起こっている。


内部統制とは、業務に組み込まれ組織内のすべての者によって遂行されるプロセス

個人は、自らを律することができれば不正を行うことはない。一方、企業は組織であり、多くの人々がそれぞれの組織の目的と役割に基づいて業務を遂行している。企業としては、これら組織を構成する人々が、不正やミスを起こさないようにすることが重要である。不正やミスを起こさないようにすることを個々人の自律性に任せていて、何も問題が発生しなければそれに越したことはない。しかし、そのような保証を得るのは難しい。従って、企業内の構成員が、不正やミスを起こさないような仕組みを、業務の遂行上に組み込んでいくことが必要であり、これが内部統制なのである。
昨今話題となっている日本版SOX法は、金融商品取引法の中に盛り込まれた、財務報告に関する内部統制報告制度である。金融庁・企業会計審議会の内部統制部会では、内部統制をその公表資料の中で「内部統制とは、・・・(中略)・・、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセス」と定義している。それでは、これまでのわが国の会計制度を振り返った時に、内部統制という視点はなかったのであろうか。歴史を見てみる。


会計制度でも定義されていた内部統制

戦後1948年に公認会計士法が施行され、同時に、公認会計士制度が発足している。ここから、公認会計士による帳票の試査による財務調査がスタートしている。この2年後、50年には、企業会計基準審議会により「財務諸表の監査について」が発表され、ここで「内部統制」は「内部牽制組織」と「内部監査組織」からなるとしている。さらに翌51年には、通産省産業合理化審議会により「企業における内部組織の大綱」が発表され、ここでは「内部統制」とは「経営者が企業の全体的観点から執行活動を計画し、その実施を調整し、かつ実績を評価することである。」としている。
このように早い段階から、内部統制について定義づけが行われてきたが、その重要性はあまり認識されず、拡大と成長の経営が優先され今日に至っているのである。 いずれの企業も、社内ルールや規程など無しに、業務が行われているわけはないはずである。今求められている内部統制の整備を、制度対応のためという後ろ向きの考え方ではなく、内部統制の意義を再考し、業務の効率化、見える化などプラス思考で取り組むことを期待したい。

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