欧州経済
ECB国債型量的緩和の追加詳細を発表

ギリシャとは喧嘩別れか?

2015年3月6日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト 菅野 泰夫

サマリー

◆2015年3月5日、欧州中央銀行(ECB)は定例の理事会をキプロスで開催し、注目されていた国債買い入れ型の量的緩和策(以下、QE)の追加詳細を発表した。一方、対象となる政府系機関債、EU機関債の発行体は示されたものの、最終的な個々の買い入れ金額は発表されず、シティでは若干肩透かしにあったとの声も聞かれる。

◆ドラギ総裁はインフレ目標達成への自信を示したものの、インフレ率の見通しだけ見ると2017年に1.8%に留まる見通しであり、前回理事会の議論の中で、あえて達成目標を2016年年末から2016年9月に前倒したものの、今回のプログラムを早期に終了させる見通しではないとも解釈できる。

◆現在ECBは、ギリシャ国債を大量に保有しており、QEを実際に開始できるのは、保有国債が償還される7月以降となる。ただし、ギリシャ側はECBが保有する同国国債のうち7月~8月に満期を迎える計67億ユーロについて償還の延期を示唆しており、その場合、今回のQEによる国債買い入れはできないことになる。

◆域内不均衡を是正する財政出動が期待できない現在のユーロ圏は、今回のギリシャ危機で構造的欠陥が露呈したともいえよう。財政緊縮策を優先するあまり、景気刺激策が後手に回る構造は変わらず、ついに開始されるECBの量的緩和策の効果が、実体経済にどこまで影響を与えるかは未知数ともいえるだろう。

レポートをダウンロードする

お気に入りへ登録

この記事を「お気に入りレポート」に登録しておくことができます。

このレポートのURLを転送する

  • @

お問い合わせ

PDFファイルの閲覧にはAdobe® Reader®新しいウィンドウで開きますが必要となります。お持ちでない方は、アドビ システムズのウェブサイトから無償ダウンロードができます。
なお、Adobe® Reader®のインストール方法は、アドビ システムズ ウェブサイト新しいウィンドウで開きますをご覧ください。

Get Adobe® Reader®

リサーチ

リサーチメールマガジン

大和総研研究員によるレポートやコラム、書籍・刊行物などの最新情報を適宜お届けします。

ダイワインターネットTV

2016年11月16日
トランプ新大統領の今後と金融政策への影響

2016年10月26日
米国大統領・議会選挙のポイント

2016年9月28日
2016年9月FOMCのポイントと金融政策の見通し

書籍

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『習近平時代の中国人民元がわかる本』

誕生から半年が過ぎようとして、“改革”に力が入る中国・習近平政権。なかでも、人民元は、中国が世界にアピールできる1つの武器となっている。本書では、人民元に対する素朴な疑問から、中国が目指す未来まで分かりやすく解説。そして、変わりゆく人民元に投資する際の留意点なども指摘している。

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『ミャンマー開国 ― その経済と金融 ―』

民主化政策への転換を図り、開国したミャンマー。本書では、ミャンマーの歴史・政治体制を俯瞰し、人的資本、産業構造、対外関係、金融・財政などを統計に基づき客観的に解説、抱える課題や今後の経済発展に必要な政策についても述べています。ミャンマーをより深く理解して頂くため、多くのビジネスマンに活用して頂ければ幸いです。