中国経済
上昇に転じた中国人民元と資本取引規制

上昇・下落の両局面とも長引きやすい中国の為替制度

2017年10月3日

サマリー

◆今年に入って、人民元レートが上昇に転じているが、中国政府が資本取引規制を使って対外直接投資を抑制したことが、その要因になっていると見られる。

◆中国における最近の経験を見ても、資本取引規制により円レートを安定化させようとしていた1970年代の日本における経験を見ても、資本取引規制が効果をあげて為替レートに影響を与えるまでには、一定の時間がかかっている。今後中国政府が資本取引規制についての政策を対外直接投資促進の方向に切り替えたとしても、それによってすぐに人民元レートが下落し始める可能性は、あまり高くないと考えられる。

◆オフショア人民元の増減は、中国国内の外貨の増減に寄与し、人民元レートの上昇・下落を後押しする。他方、オフショア人民元は、人民元レートの変動による為替差益の最大化が考慮されて増減していることが考えられる。従って、将来の人民元レートについての期待が、過去の人民元レートのトレンドにより形成されていると、オフショア人民元の増減は、人民元レートの上昇・下落の両局面において、一旦始まったトレンドを後押しする性質を持っていることになる。

◆オフショア人民元の一部である香港の人民元預金の増減と人民元レートの変動との間のこれまでの関係は、オフショア人民元がこのような性質を持っているという見方と整合的である。

◆今年に入って人民元レートが上昇に転じた後、香港の人民元預金もわずかながら増加に転じている。今後中国政府が資本取引規制についての政策を対外直接投資促進の方向に切り替えたとしても、それによってすぐに人民元レートが下落し始める可能性はあまり高くないことを考えると、米国の長期金利の急上昇などの状況変化がない限り、最近始まった人民元レートの上昇は、長引く可能性があると考えられる。

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2017年9月28日
欧州経済・金融見通し ~ブレグジット交渉に行き詰る英国~

書籍

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『習近平時代の中国人民元がわかる本』

誕生から半年が過ぎようとして、“改革”に力が入る中国・習近平政権。なかでも、人民元は、中国が世界にアピールできる1つの武器となっている。本書では、人民元に対する素朴な疑問から、中国が目指す未来まで分かりやすく解説。そして、変わりゆく人民元に投資する際の留意点なども指摘している。

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『ミャンマー開国 ― その経済と金融 ―』

民主化政策への転換を図り、開国したミャンマー。本書では、ミャンマーの歴史・政治体制を俯瞰し、人的資本、産業構造、対外関係、金融・財政などを統計に基づき客観的に解説、抱える課題や今後の経済発展に必要な政策についても述べています。ミャンマーをより深く理解して頂くため、多くのビジネスマンに活用して頂ければ幸いです。