東南アジア経済
ラオス発展の方向性

農業、鉱物資源、水力発電中心だが、労働集約型組立や観光も

2016年1月8日

  • 佐藤 清一郎

サマリー

◆ラオスは、インドシナ半島の中間に位置し、周辺を中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムに囲まれ海に面していない国である。亜熱帯地方に属し雨量も多く農業に適した気候風土で水力発電も盛んである。また、銅を中心に鉱物資源にも恵まれている。一方で、港へのアクセスが悪く、物流コストが高いため、本来的には、製造業進出には適さない立地である。

◆しかし、このところ製造業進出が増加し始めている。第一の理由は、タイの人件費上昇で採算が取れなくなった企業が、労働集約的な部分をラオスに移していることがある。ラオスは人件費が安い他に、タイ語が通じるのでタイに進出している企業としては労働者の訓練が容易となる。

◆第二には、東西回廊の完成で、物流コストが下がってきていることである。メコン川にかかる橋の近くに工業団地ができて製造業が進出してきている。しかし、本格的に工場全体をタイから移転するには、依然として立地が悪すぎるため、あくまでも、労働集約的な生産工程の一部分をラオスで生産するというレベルに留まっている。

◆物流環境変化の可能性の観点では、中国がラオス内に中国ラオス鉄道の着工を開始していることも注目される。完成すれば、タイやベトナムへのルートが広がることになり、ラオスとしてはビジネスチャンスが拡大する。

◆ラオスの経済開発は、立地の特性から考えて、他のアセアン国とは戦略を異にする可能性が高い。すなわち、工業団地への製造業誘致による工業化というよりは、農業の高付加価値化、鉱物資源開発、水力発電、観光産業振興などが主な成長ファクターとなっていくであろう。

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