サマリー
◆本レポートでは、消費税率引上げを含む社会保障と税の一体改革、および2012年度税制改正や復興増税などの税・社会保障の改正内容について、消費税率引上げ後の2016年と2011年時点とを比較して、家計収支にどのような影響を与えるのか総合的な試算を行う。
◆世帯類型の設定としては、「40歳以上片働き4人世帯」、「40歳以上共働き4人世帯」、「40歳未満単身世帯」、「75歳以上夫婦世帯」、「75歳以上単身女性世帯」の5類型を想定した。
◆今回分析を行ったいずれの世帯においても、2011年と比べると2016年の実質可処分所得は5.10%以上減少し、その最大の要因は消費税率の引上げ(物価上昇による実質ベースの減少)である。次に実質可処分所得を減少させる要因としては、現役世帯では、子ども手当(児童手当)の減少と所得制限、厚生年金保険料の増加、住民税の年少扶養控除廃止などが挙げられる。高齢世帯では、物価スライド特例水準の減少(年金減額)と介護保険料の増加が挙げられる。
◆夫婦2人で生活しているときの夫婦合計の年金額よりも、夫の死亡後に妻に支給される年金額は少なくなる。にもかかわらず、「低年金者への福祉的な給付措置」は個人単位で見た支給額が老齢基礎年金の満額を超えているか否かで判定する。このため、夫婦2人で生活していたときは「低年金者への福祉的な給付措置」があったが、夫の死亡後は「低年金者への福祉的な給付措置」がなくなるケースも多いものと考えられる。
※本レポートは、2012年6月22日発表の拙稿「社会保障・税一体改革による家計への影響試算」を改訂したものである。主に図表4を改訂している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
社会保障・税一体改革による家計への影響試算<二訂版>
最新の法改正を反映し、2011年と2016年の実質可処分所得を比較
2012年11月29日
-
新旧児童手当、子ども手当と税制改正のQ&A
所得制限は夫婦のうち年収の多い方で判定
2012年05月14日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日