経済分析レポート
貿易収支赤字の要因①~原発停止で4兆円赤字拡大

原発停止は2013年のエネルギー輸入金額を4兆円程度押し上げ

2014年3月10日

  • 経済調査部 エコノミスト 齋藤 勉

サマリー

◆2013年の貿易収支は11.5兆円の赤字となり、比較可能な中で過去最大の赤字幅を記録した。本レポートは、その要因を分析するレポートの第1弾である。

◆原発が停止してから、火力発電への依存度は急速に高まり、液化天然ガス(LNG)の輸入量が急増した。さらに、LNG調達の急増は、スポット取引の増加を通じてLNG価格を上昇させることになった。仮に原発が停止していなければ、鉱物性燃料輸入量は10%程度少なく、LNG輸入価格は20~30%程度低かった可能性がある。結果として、原発が停止していなければ、輸入金額は4兆円程度少なかったと考えられる。これは裏を返せば、原発が再稼働しても、貿易収支赤字幅は4兆円程度しか縮小しないということを意味する。

◆貿易収支赤字幅の拡大には空洞化の影響が大きく、円安によるJカーブ効果の発現に時間がかかっていることも影響している(空洞化、円安が貿易収支に与える影響については、貿易収支赤字の要因②、③で分析しているため、そちらも合わせてご参照いただきたい)。しかし、原発停止、空洞化、円安の影響をすべて取り除けば、2013年の貿易収支は2兆円程度の黒字になっていた可能性がある。すなわち、貿易収支が赤字のまま推移するか、それとも黒字に復していくかは、今後の日本経済の動向次第なのである。

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