経済・社会構造分析レポート 米国経済
トランプ政策は雇用増加につながるか

IT化の進展が労働投入を抑制

2017年3月1日

  • 経済調査部 エコノミスト 笠原 滝平
  • 研究員 山口 茜

サマリー

◆アメリカのトランプ大統領は国内の雇用拡大を目指しており、その一環として貿易赤字額の大きさを問題視している。1990年代以降、巨額な貿易赤字が続いているが、その主因は対中貿易赤字の拡大である。対日貿易赤字は安定的に推移している。

◆国内の雇用は全体で見ると増加しているが、製造業に限れば減少が続いており、特に2000年代の減少ペースが著しい。アメリカ企業の海外売上高比率は2000年代に上昇しており、製造業の雇用の減少とタイミングが合う。

◆しかし、先行研究では企業の海外進出が必ずしも国内雇用を減らすわけではないことが示されている。そこで、本稿では製造業の雇用減少の要因の一つとしてIT化の進展に着目した。

◆アメリカ国内の製造業をIT利用度によって分類し、それぞれの労働生産性の伸び率、労働投入、雇用者数の変化を確認。結果、IT利用産業は労働生産性の伸び率が高く、ITの利用が労働投入、雇用者数の抑制に寄与している可能性が示された。

◆今後もITの利用は拡大すると考えられ、製造業の国内回帰を促しても製造業における雇用の増加は限定的となる可能性が指摘できる。ITの利用に伴う新たな価値創造に目を向け、技術革新の促進を通じたアメリカ国内の付加価値増大による内需押上げが、長期的な経済成長を目指すうえで重要となるだろう。

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