経済・社会構造分析レポート
財政見通しは改善するも財政健全化への道筋は見えず

消費税増税再延期を織り込んだ内閣府中長期試算

2016年8月23日

  • パブリック・ポリシー・チーム シニアエコノミスト 神田 慶司

サマリー

◆2016年7月26日に改定された内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)によれば、2020年度の基礎的財政収支は経済再生ケースでGDP比▲1.0%と見込まれる。

◆世界経済見通しが下方修正され、消費税増税が再延期されたものの、基礎的財政収支の見通しは前回試算(2016年1月)から改善した。その主な理由は、①2017年度の歳出の想定が抑制的に見直されたこと、②政策効果等により内需見通しが上方修正されたこと、の2つである。

◆歳入は景気拡大等により経済成長率を上回るペースで増加してきたが、反対に言えば、景気がひとたび悪化すると逆のことが起こる。企業収益は外部環境の悪化から頭打ちとなっており、これまで以上に歳出改革に注力する必要がある。

◆経済再生ケースが示す以上に財政収支を改善させていくには、経済・財政再生計画の歳出・歳入改革を着実に進めるとともに、潜在成長率の上昇を通じて税収を構造的に増加させる取組みが欠かせない。各種施策のPDCAサイクルを実効的に回し、マクロの生産性向上につなげていけるかが課題である。

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