経済・社会構造分析レポート
人手不足は本当に深刻なのか?

~建設業の人手不足・男性の非正規化・雇用のミスマッチなど~『大和総研調査季報』 2014年秋季号(Vol.16)掲載

2014年12月1日

  • 田中 豪

サマリー

「人手不足」が話題に上ることが多くなったが、現在の状況を見ると、経済全体としては人手不足には陥っていない。部分的には非製造業、とりわけ建設業や、パートタイムをはじめとする非正規雇用など、一部の業種と雇用形態で人手不足感が強い。

雇用形態別の状況を詳しく見ると、パートタイムの求人数は増加傾向にあり、パートタイム比率は上昇を続けている。この背景には、正規雇用で働いていた男性が離職後に正規の仕事を見つけられずに、やむを得ず非正規化していることが背景にある。しかし、医療、介護などの分野では、パートタイムだけでなく、正社員への労働需要も高まりつつあり、今後、こういった傾向が他の業種にも広まれば、男性の望まざる非正規化は食い止められると考えられる。

様々な形態の局所的な人手不足が、どの程度雇用のミスマッチを生んでいるのかを定量的に考察するために、ミスマッチ指標を計算すると、ここ数年はおおむね横ばいの動きとなっている。これらを総合すると、現状では人手不足は一部の職種と業種に限られており、経済全体への影響は深刻なものとはなっていない。


大和総研 調査本部が、その長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、経済、金融資本市場及びそれらを取り巻く制度を含め、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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