経済・社会構造分析レポート
大都市圏における在宅ケア普及のカギ

高齢者の孤立を防ぐため、「互助」関係を意図的に創設する

2014年9月30日

サマリー

◆超高齢社会の医療・介護政策として、政府は地域包括ケアを推進し、在宅ケアの普及を図っている。しかし、2025年に高齢化がピークアウトしていく地方圏と異なり、それ以降も高齢者世帯が急増する大都市圏においては、現状のまま、在宅ケアを推し進めることは問題が多いだろう。

◆核家族化が進む大都市圏では、医療・介護の専門サービスはもちろんのこと、従来、同居家族が負担してきたような日常的な生活支援を含む、ほぼすべてのサービスを、家庭の外に求めなければならないケースが多発すると懸念されるためである。政府は近隣住民によるインフォーマルな「互助」に期待して、在宅ケアを普及させようというが、大都市圏では地域コミュニティの衰退が深刻化しており、難航が予想される。孤立する高齢者世帯の増加も考えられる。

◆これらの問題を解消するためには、大都市圏の高齢化が本格化する以前に、地域のボランティア等の活動を活性化させておくことが考えられるだろう。ボランティア活動への参加が、将来的に、在宅ケアを支える近隣住民の結び付きへと発展していく可能性がある。そのためには、住民の地域活動への参加に対する阻害要因を取り除く必要があるだろう。阻害要因として、活動のための時間が取れないことが最も多く挙げられている。

◆近隣住民によるインフォーマルな支援である「互助」に大いに期待して、深刻化する大都市圏の在宅ケア問題を乗り越えようというならば、今から意図的に近隣住民の「互助」関係を創設していく必要があるだろう。そのためには、各々のボランティア活動等の地域活動への参加を妨げない、むしろ参加することについて何らかのかたちでフィードバックするなど、活動への参加を促すような環境へと転換させていくことが望まれよう。

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