循環型社会形成推進基本法(循環基本法)

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2012年09月06日

  • 岡野 武志

1993年に制定された環境基本法は、再生資源等の利用や事業活動に伴って発生する廃棄物等の適正処理を事業者の責務としており、廃棄物やリサイクルについての一定の法整備が進められていた。しかし、企業の事業活動や国民の日常生活から発生する廃棄物の増加に対し、新たな廃棄物処理施設の立地には困難が伴う一方、不法投棄の増大などがみられ、廃棄物対策は喫緊の課題となっていた。そこで、大量生産→大量消費→大量廃棄の社会構造を改め、循環型社会の形成を総合的かつ計画的に推進するための基本法として、2000年にこの法律が制定された(※1)


循環基本法における「廃棄物等」とは、

○「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第2条1項に定める廃棄物

○使用後または未使用で収集された、もしくは廃棄された物品

○製造/加工/修理/販売、エネルギー供給、土木建築工事、農畜産物の生産等の活動から副次的に得られた物品

等を指し、廃棄物等のうち有用なものを「循環資源」という(第2条)。この法律は、廃棄物等の発生を抑制するため、原材料を効率的に利用し、製品をなるべく長期間使用することを求めている(第5条)。その上で、循環資源については、技術的及び経済的に可能な範囲で、以下の道筋で利用することを基本原則としている(第7条)。

できる限り再使用→(再使用できなければ)→再生利用→(再生利用できなければ)→熱回収→(これらの循環的な利用ができないものは)→適正処分


国は、循環型社会の形成に関する基本的かつ総合的な施策を策定・実施することが責務とされ(第9条)、地方公共団体も、地域の自然的社会的条件に応じた施策を策定・実施することが責務とされている(第10条)。事業者には、上記の基本原則に則り事業活動を行うに際しては、耐久性向上や修理体制の充実等による廃棄物等の抑制、製品・容器等の設計の工夫(環境配慮設計)、材質・成分等の表示等による循環的利用の促進などが求められている(第11条)。この法律では、事業者の責任範囲を広げることにより(拡大生産者責任)、廃棄物等の抑制や資源の効率的利用が促進されることが期待されている。しかし、国民にも、製品の長期間使用、再生品の使用、循環資源の分別回収への協力等により、廃棄物等の抑制や資源の循環的利用に協力することが求められている(第12条)。


この他、循環型社会形成推進基本計画の策定(第15条~第16条)や循環型社会の形成に関する国や地方公共団体の施策(第17条~第32条)についても定められている。なお、資源の有効利用やリサイクル等については、個別に以下の各法等が置かれている。


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(※1)「循環型社会形成推進基本法」e-Gov 法令検索


(2012年9月6日掲載)

(2013年4月8日更新)

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