循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)

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2012年09月06日

  • 岡野 武志

循環型社会形成推進基本法(循環基本法)第15条の規定に基づき、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために定められた、循環型社会の形成に関する基本計画。循環基本計画は、環境基本法に基づく環境基本計画を基本として策定するものとされている。環境大臣が中央環境審議会の意見を聴き、資源の有効な利用の確保に係る事務を所掌する大臣と協議の上、循環型社会形成推進基本計画案を作成し、閣議決定を経て公表することになっている。2003年に第一次基本計画、2008年に第二次基本計画が定められており、現在は2013年5月に閣議決定された第三次基本計画に基づいて、各種の施策が進められている(※1)


第三次基本計画では、資源価格の高騰や需給逼迫などにより資源制約が強まるとの予想等を踏まえ、リサイクルより優先順位が高い2R(リデュース・リユース)を進めることが重視されている。また、東日本大震災等を契機として、「今後はより一層、環境保全と安全・安心を重視した循環の実現を図っていく必要がある」としており、以下の6項目を取り組むべき課題と認識している。


(1)2Rの取組がより進む社会経済システムの構築


(2)循環資源の高度利用と資源確保


(3)安全・安心の確保


(4)循環型社会・低炭素社会・自然共生社会づくりの統合的取組と地域循環圏の高度化


(5)廃棄物の適正処理


(6)国際的取組


第三次基本計画には、「循環型社会形成に向けた取組の中長期的な方向性」も示されており、2030年頃までに、以下のような循環型社会の形成を目指すとしている。


 1.自然界における循環と経済社会における循環が調和する社会


 2.3R型ライフスタイルと地域循環圏の構築


 3.資源効率性の高い社会経済システムの構築


 4.安全・安心の実現


 5.国際的取組


第三次基本計画では、第二次基本計画に引き続いて、循環型社会形成のために以下の指標が置かれており、目標を設定する各指標を補足する観点から、補助的な指標も定められている。これまでの取り組みにより、第二次循環基本計画で定めた目標を既に前倒しで達成しているものもあり、第三次基本計画では、指標の目標設定水準が引き上げられている。


①「入口」:資源生産性=GDP÷天然資源等投入量


数値目標:資源生産性を2020年度に46 万円/トンにする(2015年度:42万円/トン)


②「循環」:循環利用率=循環利用量÷(循環利用量+天然資源等投入量)


数値目標:循環利用率を2020年度に17%にする(2015年度:14~15%)


③「出口」:最終処分量= 廃棄物最終処分量


数値目標:最終処分量を2020年度に17 百万トンにする(2015年度:23百万トン)


(カッコ内は第二次基本計画の目標)


(※1)第三次循環型社会形成推進基本計画の閣議決定及び意見募集(パブリックコメント)の結果について(お知らせ)」環境省(平成25年5月31日:報道発表資料)


(2012年9月6日掲載)

(2013年6月4日更新)

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