中国 不良債権問題の現状と解決への課題

潜在的不良債権の存在とDES、ABSによる不良債権処理について

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2016年05月26日

  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆中国の銀行監督当局の公表によれば、中国の銀行が抱える不良債権総額は2016年3月末時点で約1.4兆元に達し、貸出総額に占める不良債権比率は1.75%となっている。


◆不良債権比率は低水準にあるが、潜在的な不良債権の存在、および中国経済の構造転換の過程での不良債権の顕在化が懸念されている。


◆不良債権処理方法について当局はデットエクイティスワップ(DES)と資産担保証券(ABS)の活用を企図している。


◆DESの実施においては再生見込みのある企業の選別および経営改善に向けた仕組み作りが特に重要となろう。ABS発行の際には、適切な情報開示とこれを担保する監督体制等が求められる。


◆当局が資本市場を活用する形での不良債権処理を企図していることは、中国の資本市場の発展および、今後のモラルハザードの防止に繋がることが期待できるのではないか。

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