大和総研
上場企業の『トップマネジメントの意識調査』結果を発表

57%の企業が東京オリンピック・パラリンピックをチャンスと捉えている。 一方、その後の景況感については59%の企業が低迷と想定している。まさにハード・ソフト両面のオリンピックレガシー発想が求められている

2015年3月3日

株式会社大和総研

株式会社大和総研(代表取締役社長:深井 崇史、本社:東京都江東区)は、このたび今後の景況感や経営の課題等に関する各社のトップマネジメントの考えを把握・分析することを目的として、『第1回 企業価値創造に関するトップマネジメントの意識調査』を実施しました。

【調査結果に対する考察】

  1. 東京オリンピック・パラリンピックへの期待度は高く、かつ自社の業績にも自信が伺える。しかし、その後の景況感や自社業績については慎重な意見が多数を占めた。今からオリンピック・パラリンピック後を見据えた戦略の構築、経営計画の立案が不可欠である。
  2. 少子高齢化に関しては、シニア市場拡大の期待はある一方で、長期的には国内市場の縮小と人材確保難を懸念している。女性と高齢者の活躍を促進し、かつ民間企業と地域が垣根を超えて、婚活支援や子どもを育てやすい環境整備を行うことが求められる。
  3. 資源・エネルギー問題に関しては、中長期的には原材料も含めてコストの上昇を想定している。新技術の開発や調達手段・調達地域を最適化する好機と捉えるべきである。電力の自由化等、規制緩和も新たなビジネスチャンスの機会となる。
  4. 今後10年間の日本経済の強みに関しては、「技術開発力」、「製品・サービスの品質」、「日本のブランド力」が上位を占めた。オリンピック・パラリンピックはインフラやセキュリティー等も含め、世界に向けて製品・サービスのPRや情報発信ができる絶好の機会となる。また東京から地方へ外国人観光客の動線を伸ばすチャンスでもある。
  5. 自社の経営課題に関しては、「人事政策」、「新製品開発・新規事業」、「M&A・業務提携など」が上位を占めた。特に非製造業においても、今後組織再編を含めてM&Aや業務提携が活発化すると予想される。
  6. 今後経営者に求められる資質に関しては、「先見性」がダントツの1位で、「環境変化対応」、「リーダーシップ」、「戦略的思考」と続いた。コーポレートガバナンス・コードにおいては、能動的な経営戦略や経営計画の策定・公表を求めている。その視点においても「先見性」は経営トップの適性に関する重要な指標の一つとして注目される。

【『第1回 企業価値創造に関するトップマネジメント意識調査』 実施概要】

  • 調査対象社数:上場企業の内、時価総額50億円以上の2,436社 (2014年11月末時点/外国企業除く)
  • 有効回答数:292社(製造業123社、非製造業136社、金融業27社、その他6社)
  • 調査方法:郵送調査
  • 質問数:全6問
  • 調査期間:2014年12月8日(月)~2015年1月23日(金)
  • 調査主体:株式会社大和総研 経営コンサルティング本部

【調査結果の概要】

1.全体分析の結果

本調査では、今後の景況感や少子高齢化、資源・エネルギー問題などホットなテーマに焦点を当てると同時に、自社の経営課題や経営者に求められる資質等についての設問を用意した。コアの設問は6項目で以下の通りである。

<コアとなる設問>

  1. 東京オリンピック・パラリンピックについて
  2. 少子高齢化現象について
  3. 資源・エネルギー問題について
  4. 今後10年の日本経済の強み・成長エンジンについて
  5. 自社が抱える経営課題について
  6. これからの経営トップに求められる資質について

東京オリンピック・パラリンピックについて

  • 全体の57%の企業が東京オリンピック・パラリンピック開催は自社の業績にとってチャンスと考えている(図表1)。
  • 全体の59%の企業がオリンピック開催後の国内の景況感について低迷すると想定している(図表2)。その理由としては「消費マインドがピークアウトする」、「公共工事の減少」という回答が目立った。
東京オリンピック・パラリンピックの開催は貴社の事業にどのような影響があるとお考えですか
東京オリンピック・パラリンピック開催後の国内の景況感

少子高齢化現象について

  • 全体の48%の企業が少子高齢化は自社の事業にとって脅威であると考えている(図表3)。
  • その理由としては「自社の売上の減少」と「若年層の人材確保がむずかしくなる」という回答が目立った。
少子高齢化は貴社の事業にどのような影響があるとお考えですか

資源・エネルギー問題について

  • 「脅威」と考えるが33%、「チャンスでもあり脅威でもある」が17%、「チャンス」が24%、「どちらともいえない」が27%と意見が分かれた(図表4)。
  • 脅威の理由としては「原材料・エネルギーコストの上昇が懸念される」がもっとも多く、チャンスの理由としては「電力の自由化等、ビジネスチャンスの拡大」、「新商品・新サービス開発のきっかけとなる」という回答が挙げられた。
資源エネルギー問題は貴社の事業にどのような影響があるとお考えですか

今後10年間の日本経済の強み・成長エンジンについて

  • 「技術開発力」、「製品・サービスの品質」、「日本のブランド力」という回答が上位を占めた(図表5)。
今後10年の日本経済の強み・成長エンジンは何であるとお考えですか

自社が抱える経営課題について

  • 「人事政策(グローバル人材、女性・シニア活躍等含む)」、「新製品開発・新規事業」、「M&A・業務提携など」という回答が上位を占めた(図表6)。
現在、貴社の抱える経営課題は何であるとお考えですか

経営トップの資質について

  • 「先見性」、「リーダーシップ」、「環境変化対応」、「戦略的思考」という回答が上位を占めた(図表7)。
これからの経営トップに求められる資質とは何であるとお考えですか

2.業種別の特徴について

企業の業種を大きく製造業、非製造業、金融業に分類し、業種別の特徴に関して分析を行った。

東京オリンピック・パラリンピックについて

  • 「オリンピックはチャンスである」と捉える比率は製造業が63%、非製造業が53%、金融業が52%と製造業が10ポイントほど高い結果となった。
  • 「オリンピックはチャンスでもあり脅威でもある」との回答は非製造業で19%、製造業で9%であったが、金融業ではゼロであった。
  • オリンピック後の国内の景況感については、「低迷する」の回答が非製造業で60%、製造業で60%、金融業で50%と金融業が10ポイントほど低い結果となった。
  • オリンピック後の自社の売上に関しては、いずれの業種も「現時点で判断できない」が多数であった。製造業の35%、非製造業の36%に対して金融業は56%と20ポイントほど高い結果となった

少子高齢化現象について

  • 全体としては「脅威」の回答が多数であったが、製造業と非製造業でそれぞれ47%、51%であったのに対して金融業では33%と低いポイントであった。
  • 「チャンス」の回答はどの業種も10%前後で、大きな差は見られなかった。

資源・エネルギー問題について

  • 製造業並びに非製造業では「脅威」がそれぞれ39%、32%であったが、金融業では7%であった。金融業は「どちらともいえない」が最も多く、56%であった。

今後10年間の日本企業の強み・成長エンジンについて

  • 「技術開発力」、「製品・サービスの品質」、「日本のブランド力」は製造業、非製造業ともに上位を占めたが、金融業では「日本のブランド力」の代わりに「規制緩和」が上位であった。
  • その他の上位回答として製造業では「海外展開」「規制緩和」、非製造業では「規制緩和」「組織・人材力」が並んだ。金融業でも「組織・人材力」は4位であり、非製造業と同じく労働集約型業種の特徴が現れた。

現在の自社の経営課題について

  • 製造業では「新製品開発」が66%で1位であったが、非製造業並びに金融業においては「人事政策」が1位で、それぞれ51%、59%であった。
  • 非製造業では「M&A・業務提携」が第2位で45%を占め、組織再編のトレンドが製造業から非製造業へシフトしていると推測される。

これからの経営トップに求められる資質について

  • 製造業では「リーダーシップ」が第1位で59%であったが、非製造業と金融業では「先見性」が第1位で、それぞれ54%、78%であった。順位の差はあるものの、上位4位まで回答は全業種を通じて同じ内容であった。
  • 「常識にとらわれない発想や行動」は、製造業並びに非製造業ではそれぞれ20%、24%と低かったが、金融業では41%と高いポイントであった。

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